冬の寒さが細くおいしいそうめんを作ります

手延べそうめん「揖保乃糸」

600年以上の歴史を持つ、「揖保乃糸」に代表される西播磨地域の手延べそうめん作りは、道具が進化しても、基本的に昔から変わりません。何本もの麺生地を合わせ、熟成具合を見極め、よりをかけながら、徐々に細く長く引き延ばしていく作業を繰り返す上で、寒さはおいしいそうめん作りに欠かせない要素です。そのため、ゆっくりと熟成が進む10月から4月までしか製造されず、厳寒期の12月から2月に最盛期を迎えます。
兵庫県手延素麵協同組合では、吟味を重ねて選定した小麦粉や塩といった原料を一括で仕入れて組合員に分配し、出来上がった麺は統一基準の厳格な検査で等級を決め、揖保乃糸にふさわしいものだけを専用倉庫で熟成させてから出荷します。こうした伝統によって、雪の降る北部から海沿いの南部まで、たつの市や宍粟市など3市2町の約400業者が同じ品質を保っていることが私たちの誇りです。（兵庫県手延素麵協同組合天川亮さん）

かつては屋外で麺を延ばし寒風で乾燥させる門干しが厳寒期の風物詩でしたが、現在は工場内での作業に完全移行。衛生面や品質面の向上にもつながったといいます。