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兵庫県の財政状況について説明します

県の財政は、道路や学校といった社会基盤の整備、防災対策、福祉や医療など、さまざまな面で県民生活を支えています。一方、県債の返済や利子負担の増加により、本年度から兵庫県は起債許可団体*1に移行するなど、県の財政状況は厳しさを増しています。現状に至るまでの背景と現在の状況、将来にわたり県民に必要な行政サービスを提供するための今後の取り組みについて説明します。

用語解説:*1 起債許可団体
県が新たにお金を借りる際に国の許可が必要となる状態のこと。将来の返済負担を適切に管理するため、計画に基づいた財政運営が求められる。

震災復興やインフラ整備の費用負担が主な要因です

現在の県の財政を取り巻く状況は、一つの要因だけで生じたものではありません。阪神・淡路大震災からの復旧・復興に伴う負担に加え、県民生活を支える基盤の整備や防災対策の実施、近年の金利上昇など複数の要因が重なり、現在の財政運営に影響を与えています。それぞれの要因とその背景について説明します。

要因1:阪神・淡路大震災からの「復旧・復興」のための負担

阪神・淡路大震災では、学校、道路、公共施設等が甚大な被害を受け、復旧・復興には約16兆3,000億円の費用が必要となりました。県は、その財源を確保するために1 兆3,000億円の県債*2を発行するとともに県債管理基金*3を5,000億円取り崩すなど、将来にわたって負担する形で資金を調達しました。結果、30年以上が過ぎた現在も財政負担が続いています。復旧・復興に要した大きな支出が、今の財政状況悪化の一因となっています。

大規模な火災で焼け跡が広がる神戸市長田区。
(提供:人と防災未来センター)

 

 

用語解説

*2 県債
県が、将来にわたり必要である事業や公共施設(道路や学校など)の整備等の実施に当たり借りるお金。世代間の負担を平準化するため、将来にわたって返済する。

*3 県債管理基金
県債の返済に備えて県が積み立てているお金。

要因2:「将来への備え」に関する負担

広大な県土と多様な地域特性を有する兵庫県ではこれまで、財政能力等が類似する府県に比べ高い水準の投資を実施。学校、道路等の整備やまちづくりの推進、台風をはじめとする自然災害への対応に加え、南海トラフ巨大地震の想定を踏まえた防災対策など、県民生活を支える基盤づくりを行ってきました。これらは地域の発展や県民の安全確保に必要である一方、必要な費用の多くを県債で賄っており、将来にわたって世代間の負担を平準化する仕組みを活用しています。これまで必要な取り組みを積極的に進めてきたことで、返済額が膨らみ、現在の県財政に大きな影響を与えています。

県内初の津波対策専用河川水門である
南あわじ市の本庄川水門。

 

要因3:返済額を押し上げる金利上昇

近年、急激に金利が上昇したことで、地方公共団体の資金調達にも影響が出ています。県でも、金利上昇による将来的な利子負担の増加が見込まれています。必要な事業を進める場合でも、返済に当たり利子負担が増える分だけ財政運営は厳しくなります。

現在の状況:持続可能な財政運営に向けて検討を進めています

財政状況の悪化に伴い、「持続可能な財政運営検討会」を設置し、学識者などの意見を聞きながら今後の財政の在り方について検討しています。その協議を踏まえ、将来にわたる県債の返済や利子負担の適正化に向けた「公債費* 4負担適正化計画」を策定しました。本年度から、県債を発行する際には国の許可を受ける必要がありますが、この計画に基づいて実質公債費比率*5の改善を図ることで財政健全化と未来への投資の両立に向けて取り組んでいきます。

 

用語解説
*4 公債費

県債として借りたお金の元金返済と利息支払いに必要な経費。

*5 実質公債費比率
自治体の収入に対して、借入金の返済がどのくらいの割合を占めているかを示す指標。数値が高いほど、返済の負担が大きい。

当面の方策:全般的に歳入・歳出を見直し、改善を図ります

当面の方策として、大きな費用負担を伴う投資事業の規模を現在より一定程度抑える方針です。一方で、県民生活に欠かせないインフラの維持や防災対策など必要な事業はこれまで通り着実に進めていきます。さらに、県民生活への影響に十分配慮しながら歳入・歳出全般にわたる見直しをはじめ、財政の健全化に向けた改革を検討します。

今後の見通し:各事業を再検討し安定した財政を目指します

これまで継続してきた事業についても、必要性や効果、効率性等の観点から不断の検証を行うとともに、DXやAIの活用、民間活力の導入等も踏まえながら見直しを進めます。また、限られた財源をより効果的に活用する方策を講じ、必要な行政サービスの水準維持に配慮することで、県民生活への影響や将来世代への負担をできるだけ抑えるよう努めます。これらの取り組みを通じて、返済負担の改善を図り、将来的には自由度の高い財政運営ができる状態を目指します。今後も持続可能な県政運営を続けていくための財政基盤の構築に向けて取り組んでいきます。

Q&A 皆さまの疑問に答えます

  • Question1:なぜこのような状況に?
    阪神・淡路大震災からの復旧・復興費用の返済が続いていることに加え、これまで進めてきた公共事業に伴う県債の返済、また、それらに加えて近年の金利上昇などが財政状況に大きく影響しています。
     
  • Question2:どのくらい危険な財政状況なの?
    厳しい状況ですが、直ちに県民サービスが停止したり財政が破綻したりすることはありません。将来の負担を抑え、計画的に財政改善に取り組んでいきます。
     
  • Question3:県民生活への影響は?
    財政改善のため、投資や事業の見直しを進めますが、県民生活に欠かせない行政サービスや道路などのインフラの維持には引き続き着実に取り組んでいきます。あくまでも、県民生活に必要なサービスを維持しながら将来にわたって安定した財政運営を目指します。
     
  • Question4:県はもうお金を借りられなくなるの?
    必要な資金を調達できなくなるわけではありません。今後は、国に計画を示しながら必要な手続きを行うことで今まで通りお金を借りることができます。財政改善を進めながら、必要な事業の実施に向けた資金を確保していきます。
     
  • Question5:これからどう改善するの?
    全ての事業を見直しながら支出を抑えるとともに、基金をはじめとした県の保有する資産を効果的に運用するなど、財源の確保にも取り組みます。財政の健全化と県民生活の両立を目指します。

計画に基づき着実に財政健全化を進めます

 

兵庫県は、2025(令和7)年度決算において借金返済の割合を表す実質公債費比率が国の基準を上回り、新たな借金に国の許可が必要となりました。県民の皆さまにはご心配をおかけしますが、直ちに必要な事業が実施できなくなるわけではありません。公債費負担適正化計画に基づき、公債費を適切に管理しながら、着実に財政健全化を進めていきます。

実質公債費比率が高い背景には、阪神・淡路大震災からの復旧・復興に伴う負担や、県債管理基金の積み立て不足の影響に加え、類似団体に比べ高い水準のインフラ整備、近年の金利上昇など、複合的な要因があります。また、先般判明した地方財政法に抵触する恐れのある公共用地先行取得等事業債の借り換え事案については、検証部会を設置し、原因究明と再発防止策の策定を進めています。

これまでの財政運営上の課題は一朝一夕に解決できるものではありません。しかし、将来世代に過度な負担を残さないためにも、さらなる県政改革を進め、財政健全化と未来への投資を両立させながら、躍動する兵庫の実現を目指していきます。県民の皆さまにはご理解とご協力をお願いいたします。


兵庫県知事 斎藤元彦

 

用語解説(まとめ)

  • *1 起債許可団体
    県が新たにお金を借りる際に国の許可が必要となる状態のこと。将来の返済負担を適切に管理するため、計画に基づいた財政運営が求められる。
  • *2 県債
    県が、将来にわたり必要である事業や公共施設(道路や学校など)の整備等の実施に当たり借りるお金。世代間の負担を平準化するため、将来にわたって返済する。
  • *3 県債管理基金
    県債の返済に備えて県が積み立てているお金。
  • *4 公債費
    県債として借りたお金の元金返済と利息支払いに必要な経費。
  • *5 実質公債費比率
    自治体の収入に対して、借入金の返済がどのくらいの割合を占めているかを示す指標。数値が高いほど、返済の負担が大きい。

 

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