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河川や下水道を整備する「ながす」対策に加えて、校庭、田んぼ、ため池などを活用して、雨水を一時的に貯留・浸透させる「ためる」対策、浸水が発生した場合でも被害を軽減する「そなえる」対策を組み合わせたものを「総合治水」といいます。
農地や山が開発され、住宅やショッピングセンターができるなど、都市化が進むことで、以前と比べて雨水が早く流れ出るようになり、局地的な大雨の頻発と相まって、各地で浸水被害が増えています。こうした被害を軽減させるには、これまでの河川改修等の「ながす」対策に加え、「ためる」・「そなえる」対策を組み合わせることが必要となっています。
県下全域で取り組みを拡大するため、平成24年4月、全国の都道府県で初めて、総合治水条例を施行しました。
兵庫県で行われている「総合治水」の取り組みを紹介します。
川幅が狭く、あふれやすい箇所や、堤防が決壊しやすい箇所等において、河道拡幅や河床掘削、堤防強化などを行っています。
河川の流量を調節して洪水被害を軽減・防止するとともに、渇水時に河川の維持用水を確保する等ダムの効果が的確に発揮されるよう、青野ダム(三田市)をはじめ21ダムを管理しています。
青野ダム(三田市)
引原ダム(宍粟市)
与布土ダム(朝来市)
まちに降った雨を安全に河川へ排水するため、下水道の整備・維持を行います。
校庭や公園のまわりに“周囲堤”をつくり、放流口を小さくすることで、敷地に降った雨水を一時的にためて、河川や水路へ流れ出る時間を遅らせます。
田んぼの排水口に“田んぼダム用セキ板”を追加することで、大雨時に従来より多くの雨水をためておき、河川や水路へ流れ出る時間を遅らせます。
大雨が降る前に、ため池の水位を下げることで、ため池で雨水をためます。
関係利水者の協力を得て、既存ダムの事前放流・期間放流や治水活用するための工事を行うなど、治水活用容量の増大に取り組み、洪水調節機能の強化を図っています。
千苅ダム(神戸市)
総合治水条例に基づき、雨水の流出量が増加する1ha以上の開発行為を行う者に対して、雨水を一時的にためる「重要調整池」の設置を義務づけています。また、1ha未満の開発行為については調整池設置の努力義務が課せられています。
戸建住宅でできる取り組みとして、屋根に降った雨をためる「雨水タンク」や地面に浸透させる「浸透ます」の設置があります。他にも、庭に花壇を設けたり、駐車場を芝生に替えることで、雨水が一気に流出することを抑えます。
間伐などの手入れを行わなかった森林では、下草が育たないため、地表面がむき出しになり、雨水や土砂が流れ出やすくなります。森が本来もっている、雨水をたくわえ山くずれを防止する能力の回復に向けた取り組みを行っています。
大雨で川があふれた場合でも、人家への水害の拡大を防止するため、堤防のうしろに控えて設置する「二線堤」や集落などの特定の区域をまもる「輪中堤」を整備します。
被害を軽減するため、事前に市町が配布している「ハザードマップ」で、どこが危険なのか、どこに避難するのかを知っておくことが大切です。兵庫県でもインターネットで確認できる「兵庫県CGハザードマップ(外部サイトへリンク)(別ウィンドウで開きます)」やいち早くメールで災害情報を配信する「ひょうご防災ネット(外部サイトへリンク)」を提供しています。
また、防災訓練を行い災害時に素早く行動できるようにしておきましょう。
浸水により被害を受けた住宅の再建・補修を支援するフェニックス共済(兵庫県住宅再建共済制度)があります。万が一にそなえて、共済や損害保険に加入しておきましょう。
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