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更新日:2021年3月24日

意見書 第62号

性犯罪に関する刑法規定の見直しを求める意見書

 重大な人権侵害であるDVに関する兵庫県内の相談件数は増加傾向にあり、男女間における暴力に関する内閣府調査(平成29年度)によれば、性暴力被害者女性のうち26.2%が配偶者・元配偶者から被害を受けている。また、性暴力の47.6%が配偶者や交際相手によるものであり、配偶者間・パートナー間の性暴力が多数を占めているほか、職場や学校等での被害も2割に上ると報告されている。

 平成29年6月、110年ぶりに性犯罪に関する刑法規定が大幅に改正されたが、「被害者の抵抗が明らかでない」という理由で加害者が無罪となる判決が相次いでおり、現行の規定では性犯罪成立の要件が厳しすぎるという指摘がある。平成29年7月施行の改正刑法には、施行後3年を目途に、性犯罪の実態を踏まえた施策の在り方を検討し、適切な措置を講ずることを定めた附則が設けられた。

  性犯罪は、被害者の性別を問わず重大な人権侵害であり、被害者の人格や尊厳を深く傷つけ、心身に大きな影響を与える深刻な犯罪である。多くの欧米諸国では、暴行・脅迫及び被害者による抵抗の有無とは関係なく、同意のない性行為を全て性暴力として刑法罰の対象としている。

 他方、日本では多くの加害者が罪に問われていない現状がある。社会の意識を変革することにより、互いの同意に基づいて相手の尊厳や性的自己決定権を尊重し合う安全な社会を実現し、性暴力被害者・加害者の減少を目指すことが必要であり、そのためには被害の実態を反映し、被害者の視点に立った刑法改正の議論が求められる。

 よって、国におかれては、強制性交等罪における暴行・脅迫の要件、監護者わいせつ及び監護者性交等罪における処罰対象となる主体の範囲、性交同意年齢、性犯罪に関する公訴時効について、性犯罪等被害の実態調査結果等に基づき、被害の実態に即した規定を整備するよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和3年3月24日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官     様
総務大臣
法務大臣
国家公安委員会委員長

兵庫県議会議長 原 テツアキ

お問い合わせ

部署名:兵庫県議会事務局 調査課

電話:078-362-9404

FAX:078-362-9031

Eメール:Gikaitosho@pref.hyogo.lg.jp