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結核とは、結核菌によって起こる感染症です。
戦後の著しいまん延状況から国を挙げての様々な対策により、結核患者は激減しました。
しかし、現在でも、日本では年間10,000人弱近くの方が発症し、1,700人弱近くの方が命を落としている感染症です。決して過去の病気ではありません。
また、日本の高齢者は結核が蔓延していた時代を過ごしており、85歳以上の高齢者は結核菌に感染している人の割合が60%を超えているとも言われています。そのため基礎疾患の増悪や加齢に伴う免疫力の低下をきっかけに結核を発症することがあります。
病原体は結核菌(Mycobacteriumtuberculosis)です。
結核を発病して排菌している人が咳やくしゃみをした時に、結核菌を含んだ飛沫(しぶき)が周囲に飛び散り、その周りの水分が蒸発した状態(飛沫核)で空気中に漂い、それを吸い込むことによって感染します(飛沫核感染=空気感染)。
潜伏期間は、一般的に半年から2年(小児ではやや短い)です。咳・痰・微熱などの症状が現れ、時に血痰、食欲低下、体重減少などがみられるようになります。症状がはっきりと現れにくい高齢者では、食欲低下や体重減少がサインとなる場合もあります。
その後、治療せずに症状がすすむと、肺の病変が拡大して呼吸困難に陥ることがあります。また骨や腸管、腎臓など肺以外の臓器にも病巣を作ることがあります。
結核の初期症状
このような症状が現れたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
「感染」とは、吸い込んだ結核菌が肺に定着した状態をいいます。結核菌が体内にあっても、特に悪い影響を与えていない状態で、人への感染性もありません。感染した人が実際に発病するのは1割から2割程度で、感染してから6ヵ月から2年後までの発病が多いです。免疫力が低下したり体力が落ちたときに発病することもありますが、一生発病しない方もいます。
「発病」とは、結核菌が体内で増えて病気を引き起こした状態をいいます。発病の初期は、咳や痰の中に結核菌が出ませんが、結核の進行に伴い、咳や痰の中に結核菌が排菌され、排菌量が増えると他の人にも感染させるようになります。
発病には、感染してから早い時期に病気が進む初感染発病と、感染してから長期間たって発病する既感染発病があります。
既感染発病は昔感染した結核菌が肺の中でじっと眠っていて、何十年もして何らかの理由で目を覚まして再び活動を始めるもので、体力の低下した高齢者に多くみられます。
治療では抗結核薬を6ヶ月以上使用します。排菌がある場合も、一般的に薬を飲み始めて約2週間で他の人への感染性はほぼなくなります。
抗結核薬は結核菌が主に分裂する時に殺菌効果を示しますが、大腸菌など多くの菌が数10分で分裂するのに比べ、結核菌は10時間以上かけてゆっくり分裂することから、排菌の有無に関わらず、症状が消えた後も長期間の服薬が必要です。症状がなくなったからといって、途中で服薬をやめてしまうと治りません。それどころか、薬が効かない多剤耐性結核菌になることがあり、薬が効かなくなります。きちんと最後まで服薬することが重要です。
予防のポイントは、予防接種、咳エチケット、定期健診の3つです。
乳幼児が感染した場合の重症化予防(結核性髄膜炎、粟粒結核等の予防)を目的に、BCGの予防接種を行います。BCGは2014年4月1日以降、生後1歳に至るまでの間に接種することと変更されました。BCGを接種することで、結核の「感染」を防ぐことはできません。
予防接種についてさらに詳しい情報(外部サイトへリンク)(別ウィンドウで開きます)(一般財団法人ワクチン産業協会)
咳エチケット用には、市販されている不織布(ふしょくふ)製マスクの使用が推奨されます。
N95マスク等の、より密閉性の高いマスクは医療用なので一般の使用には適していません。マスクの装着は説明書をよく読んで、正しく着用しましょう。
成人の方については、結核に限らず様々な疾患の早期発見のために胸部エックス線検査を1年に1回程度受けておくことが大切です。学校・職場健診など検査の機会がない場合はお住まいの自治体にお問い合わせください。
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以後、「感染症法」とする。)第53条の2の規定により、感染のリスクの高い集団や発症すると二次感染を引き起こすリスクの高い職種を対象として定期の健康診断を行うことになっており、感染症法第53条の7の規定によって、定期の健康診断の実施者は管轄保健所長を経由して都道府県知事に報告することになっています。
定期の健康診断の報告様式(結核に係る健康診断月報)は下記をご覧下さい。
[対象者及び実施主体] |
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実施主体 |
対象者 |
定期・実施回数 |
事業者 |
学校(専修学校及び各種学校を含み、幼稚園を除く。)、病院、診療所、助産所、介護老人保健施設または社会福祉法第2条第2項第1号及び第3号から第6号に規定する施設において、従事する者 |
毎年度に1回 |
学校長 |
大学、高等学校、高等専門学校、専修学校又は各種学校(修業年限が1年未満の者を除く。)の学生又は生徒 |
入学した年度に1回 |
施設の長 |
1.監獄に収容されている者 2.社会福祉法第2条第2項第1号及び第3号から第6号に規定する施設に入所している者 |
1.20歳に達する日の属する年度以降において、毎年度1回 2.65歳に達する日の属する年度以降において、毎年度1回 |
市町村長 |
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1.65歳に達する日の属する年度以降において、毎年度1回 2.市町村が定める定期において市町村が定める回数 |
ご家族やお知り合いの方が結核だったということがわかると、不安を感じられると思います。
結核は病状によって人への感染性がないタイプもあること、また感染後すぐに発病する病気ではないため、まずはご自身のお住まいの地域の健康福祉事務所(保健所)にご相談ください。保健所では、患者さんの病状、接触した方の年齢や体調、接触頻度などを考慮し、検診の必要性・内容・スケジュールを検討します。
咳や痰の症状が続く場合は、結核以外の疾患も考えられるため、胸部エックス線検査設備のある内科や呼吸器科への受診をおすすめします。
結核を発病しているかどうか診断する方法として、痰などを採取して結核菌を検出する方法(塗沫検査法、分離培養法、PCR法)と、胸部エックス線検査を行う方法があります。
結核に感染しているかどうかを診断する方法として、IGRA検査(インターフェロン-γ測定試験/血液検査)と、ツベルクリン検査があります。
結核は感染症法により二類感染症に分類され、診断した医師は直ちに最寄りの健康福祉事務所(保健所)に届け出ることが義務付けられています。
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