豊岡健康福祉事務所感染症発生動向調査週報
このページは感染症発生動向調査事業に基づき、豊岡健康福祉事務所管内(豊岡市・香美町・新温泉町)を中心とした地域の感染症の発生状況を毎週情報提供し、感染予防についての注意喚起を行っています。
2024年第16週(4月15日~4月21日)の管内の感染症発生動向情報をお送りします
今週のcontents
- 定点把握感染症について〈定点あたり上位の感染症〉
- 感染性胃腸炎について
- 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)の届出報告数が増えています
- 海外へ渡航される皆様へ
1定点把握感染症について<定点あたり上位の感染症>
順位
|
感染症
|
定点あたり報告数
|
増減 |
16週
|
15週
|
1
|
感染性胃腸炎
|
9.2
|
11.4
|
↓減少 |
2
|
RSウイルス感染症
|
2.8
|
1.0
|
↑増加 |
3
|
COVID-19
|
2.38
|
4.38
|
↓減少
|
4 |
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 |
1.8 |
1.0 |
↑増加
|
5 |
インフルエンザ |
1.13 |
3.25 |
↓減少 |
2感染性胃腸炎について
- 今週、豊岡健康福祉事務所管内の定点あたりの患者数は9.2人(先週11.4人)と減少しました
- 県内の定点あたりの患者数は5.81人(先週5.46人)と増加しました。
- 感染性胃腸炎の原因となるウイルスには、「ノロウイルス」、「ロタウイルス」、「サポウイルス」、「アデノウイルス」などがあり、主な症状は腹痛・下痢、嘔吐、発熱です。「ロタウイルス」、「アデノウイルス」による胃腸炎は、乳幼児に多く見られます。
- ノロウイルスはヒトの腸管内で増え、患者のふん便やおう吐物には1グラムあたり100万から10億個もの大量のウイルスが含まれており、少量でも感染力が強いことが特徴で、どの年齢層にも感染します。
- 感染すると24~48時間で、下痢・吐き気・おう吐・腹痛・発熱などの症状が出現し、症状が1~2日続いた後、健康な人は回復しますが、症状の回復後でも1週間程度、長い場合は1カ月にわたり、ふん便中にウイルスが排泄される場合があるので2次感染に注意が必要です。
- 感染を防ぐためには、食事前や排せつ後、調理前、患者の汚物処理、おむつ交換を行った後は、石けんと流水でしっかり「手洗い」を行いましょう。
【関連ページ】
兵庫県HP
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf16/hw12_000000035.html
3劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)の届出報告数が増えています
- 溶血性レンサ球菌(いわゆる溶連菌)は、一般的に急性咽頭炎などを引き起こす細菌ですが、まれに重篤な症状の劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)が引き起こされることがあります。
- 全国の2023年の届出報告数は941人と過去最多で、本年の報告数も例年と比較して多い傾向が続いています。患者の増加理由は明らかではありませんが、COVID-19の対策緩和以降、様々な呼吸器感染症が増加する中で溶連菌咽頭炎の患者数が増加したことも原因の一つであると考えられています。
- 兵庫県の2023年の届出報告数は40人で、本年の報告数は20人と増加傾向にあります。
- 初期症状は四肢の疼痛、腫脹、血圧低下などで、発症から非常に急激かつ劇的で症状が進行します。
- 発病後数十時間以内には軟部組織の壊死をおこしたり、血圧低下や多臓器不全からショック状態に陥り死に至ることもあります。
- 感染経路は上気道感染のほか、傷口や粘膜からの感染がありますが、明らかになっていない場合が多いです。日頃から手洗いなどの手指衛生や咳エチケット等の基本的な感染対策が大切です。
【関連ページ】
兵庫県HP
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf16/kansen/stss.html
厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137555_00003.html
4海外へ渡航される皆様へ
- ゴールデンウイークを利用して海外へ渡航される方も多いと思います。
- 海外では日本で発生していない、動物や蚊・マダニ等が媒介する感染症が流行していることがあり、注意が必要です。
- 感染力の強い麻しん(はしか)、風しん及びポリオが流行・発生している地域があることにも注意してください。
- 帰国時に発熱、咳、発疹、下痢などの症状がある、渡航先で動物に咬まれた、蚊などに刺されたなどの健康上心配な出来事があったら、空港などに設置されている検疫所へ相談しましょう。
- 感染症は潜伏期間が数日から1週間以上と長いものもあり、帰国直後には症状がなくても、しばらくしてから具合が悪くなる場合があります。その場合は医療機関へあらかじめ連絡し、現在の症状と渡航先、滞在期間、現地での飲食の状況や活動内容、動物との接触の有無、ワクチン接種歴などを伝えて受診しましょう。
【関連ページ】
厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou18/index_00003.html
グラフ・データで見る管内の感染症情報(2024年16週)
小児科定点(グラフ)インフルエンザ定点(グラフ)(PDF:445KB)
兵庫県保健所別データ(PDF:35KB)
兵庫県感染症発生動向調査週報(PDF:529KB)