閉じる

ここから本文です。

更新日:2026年10月26日

意見書 第109号

民事法律扶助制度における委任困難の解消を求める意見書

 法テラス(日本司法支援センター)が提供する民事法律扶助制度は、資力に乏しい者が弁護士に依頼するための費用を立て替える重要な制度である。しかし、地方公共団体の現場では、制度の利用を案内しても、扶助事件であることを理由に弁護士への依頼に困難が生じるケースが増加している。

 特に、事件類型的に弁護士にとっても慎重かつ負担の重い対応が求められるDV(ドメスティック・バイオレンス)を伴う離婚のケースや、案件の種別を問わず依頼者に何らかの障害がある場合に顕著である。

 このような事態が生じる原因は、比較的業務負荷の大きい案件である一方、民事法律扶助制度上、弁護士が受領する報酬単価が著しく低廉に設定されていることに加え、案件の困難性が報酬に十分に反映されていないために生じる構造にある。

 このため近時、法テラスとの基本契約を解約して依頼時に民事法律扶助制度が利用できない弁護士が増加しつつある。日本弁護士連合会も、令和6年2月の意見書において、地域によっては法テラス契約弁護士数が横ばいまたは減少傾向にあることを指摘している。また、解約はしないまでも受任事件数のうち扶助事件の件数上限を設定する弁護士も散見される中、本件はこうした全国的傾向の中で兵庫県においても現実化しているものである。

 その結果、配偶者暴力相談支援センター、障害者基幹相談支援センター、生活困窮者自立相談窓口等の地方公共団体の相談機関が住民を弁護士へつなごうとしても受任に至らないため、最悪の場合、弁護士の助力なく、住民本人が交渉、調停、訴訟等の紛争解決に臨むことを余儀なくされるなど、本当に支援が必要な人が、深刻な司法アクセスの阻害に直面している。

 こうした事態が改善されなければ、成年後見制度の申立支援、犯罪被害者支援、ひとり親家庭等特別相談等、必要な住民を民事法律扶助の利用を通じて弁護士へつなげることを前提としたあらゆる住民支援政策全体が早晩停滞することになりかねない。

 よって、国におかれては、民事法律扶助制度の報酬単価の引上げ、困難案件への加算制度の創設、利用者の支払い能力に応じた一部償還免除制度を導入するとともに、利用者負担額と弁護士報酬を制度上切り分け、公費により弁護士の適正な報酬水準を直接確保する仕組みを構築することなど、資力に乏しい住民が、困難な事案であっても確実に弁護士による支援を受けられる体制を維持するための環境整備を早急に進めることを強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和8年10月23日

兵庫県議会議長 北野 実

衆議院議長 森 英介 様
参議院議長 関口 昌一 様
内閣総理大臣 高市 早苗 様
内閣官房長官 木原 稔 様
総務大臣 藤井 比早之 様
法務大臣 山下 貴司 様
財務大臣 片山 さつき 様

お問い合わせ

部署名:兵庫県議会事務局 調査課

電話:078-362-3720

FAX:078-362-9031

Eメール:Gikaitosho@pref.hyogo.lg.jp