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年齢や性別、障害の有無、言語、文化等の違いに関わらず、あらゆる人が生き生きと暮らせる「ユニバーサル社会」を目指して、兵庫県はさまざまな取り組みを行っている。阪神・淡路大震災を経て広がったボランティア活動や、地域に暮らす誰もが主体的に生き、支え合える社会を実現するために、平成30年に「ユニバーサル社会づくりの推進に関する条例」を制定。「すべての人が地域社会の一員として尊重され、互いに支え合い、一人ひとりが持てる力を発揮して活動することができる社会」を目標に掲げて、歩んでいる。
県は、「ひょうごユニバーサル社会づくり総合指針」に定めた「ひと」「参加」「情報」「まち」「もの」の5つの柱に基づき、さまざまな取り組みを進めている。その中の「ひと」に関わる取り組みの一例に「みんなの声かけ運動」や「ヘルプマーク」がある。
「みんなの声かけ運動」は、障害のある人や高齢者、妊娠中の人、小さな子ども連れの人など、まちなかで困っている人を見かけたら声をかけて助け合おうというもの。「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけ、助け合う働きかけを進めている。イベントなどで啓発活動を展開するほか、障害を持つ講師が県内の企業や小中高等学校、大学、専門学校へ出向き、出前講座も行っている。
「みんなの声かけ運動」出前講座 |
「ヘルプマーク」は、内部障害や聴覚障害、見た目には分からない難病、妊娠初期の人などが、周囲に配慮が必要であることを知らせて、援助を得やすくなるよう身につけるもの。兵庫県は、ユニバーサル社会づくりの取り組みの一環として、ヘルプマークの普及啓発を進め、平成30年1月からヘルプマーク・ヘルプカードの交付申請の受付を行っている。
ヘルプマーク |
また「ヘルプカード」には、氏名や連絡先のほか、手助けしてほしい内容を伝える、体調の急変時に病院への連絡を依頼するといった、必要な配慮などを書き込むことができる。
ヘルプカード |
ヘルプマークやヘルプカードは県福祉部ユニバーサル推進課や各福祉事務所窓口、各市町の障害福祉担当課などに申請すれば交付される。
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対面でのコミュニケーションや、外出することが苦手な人が、社会とのつながりを持てるように、県ではオンライン会議アプリ等を活用した「オンライン居場所」を開設している。ひきこもり状態にある人の中には、地域に設けられている居場所に出向くことが困難な場合もあり、そうした人に、同じ悩みを抱える人との仲間づくりや、社会とつながるきっかけとして「オンライン居場所」を提供することで、社会参加を支える取り組みだ。関わるのは、ひきこもり状態にある人への支援を行っているNPO法人など。それぞれの居場所で特徴はさまざまであるが、ひきこもり経験者がファシリテートとする身近な話題をテーマとしたフリートークや、時にはボードゲームをしたりするなど、誰もが気軽に集える場所を目指した運営を行っている。利用者からは「名前や顔を出さずに参加できるのがいい」「他の参加者の話を聞いて気が楽になった」「自分の話を聞いてもらって気が紛れた」等評価の声もいただいている。
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全国的に子どもの貧困がクローズアップされている。その割合は約7人に1人とも言われるほど。そんな状況を少しでもサポートしようと、兵庫県の各地域で、NPOを中心に、経済的な理由により食事が十分に取れていない子どもたちのための「子ども食堂」を立ち上げる動きが起こっている。子ども食堂とは、空き店舗や街中の飲食店の定休日などを利用して、300円程度の低額で子どもたちに栄養のある温かい食事を提供する場所のことで、県内では現在565カ所(令和6年6月末現在、県地域福祉課調べ)で実施している。
運営に携わるのは、調理師や栄養士の資格をもつ地域の人や、栄養学を学ぶ学生ボランティアなど。みんなで食事を取った後は、宿題をしたり遊んだりするなど、空腹を満たすだけでなく、家庭のぬくもりや人と人との関わりを通じて、子どもたちの居場所となっている場所も多い。
一方で、多くの子ども食堂がボランティアで成り立っているため、やりたいという人がいても冷蔵庫、炊飯器や食器といった準備が整わず、断念する人もいる。そこで兵庫県では、「ふるさとひょうご寄附金」を活用して「子ども食堂」の開設を応援するプロジェクトを立ち上げている。寄付金は子ども食堂開設の準備に活用され、地域で地域の子どもたちを育てるための「心の拠り所」づくりを応援することができる。
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一人暮らし高齢者世帯などの孤独死が社会問題となる中、見守り活動や、緊急事態への早期対応が課題となっている。兵庫県では、各家庭を訪問し、異変を発見する可能性のあるライフライン企業などの民間事業者と、見守りに関する協定を締結。市町が取り組む見守り事業を支援している。
協力しているのは、ガス会社や電力会社、新聞販売店、金融機関、宅配事業者、配食事業者など。訪問した家庭で緊急事態を発見した際には、消防、警察、市町などへ通報。官民が連携し、孤立を防ぐ仕組みになっている。地域見守りネットワーク応援協定締結数は、平成25年度には24団体だったのが、令和6年度には50団体(令和6年9月末現在)に増えている。
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