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更新日:2017年11月27日

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平成29年6月センター長メッセージ(神戸県民センター長 谷口 賢行)

あれから50年 昭和42年六甲山系豪雨土砂災害

 今年は昭和42年の災害から50年の節目。皆さんのお手元に、神戸市作成の特集リーフレットが届けられたと思います。
 私たち神戸市民にとって、親しみ深い緑豊かな六甲山ですが、過去には幾度も大きな災害を起こしてきました。

六甲の治山 古くは昭和13年の阪神大水害。
 谷崎潤一郎の小説『細雪』にも描写*1されていますが、神戸の市街地は壊滅的な被害を受けました。
 この災害を契機に国の六甲砂防事務所が設置され、県と一体になって、砂防えん堤の建設を本格的に進めていくことになります。

 それでも、昭和36年、そして42年と豪雨災害が続きます。
 完成していた砂防えん堤は、確実に効果をあげたのですが、42年の災害では市ケ原の大規模斜面崩壊などにより多くの命が奪われてしまいます。

 土砂災害が相次いだ要因は、六甲山の地質と森林の荒廃にありました。
 六甲山の大部分を形成する花崗岩は、100万年前の地殻変動で山へと隆起した過程で破壊され、さらに長い年月の風化で真砂土となり、降雨によって流出しやすくなっています。
 また、六甲山は明治初期まで、樹木の乱伐により禿げ山でした。明治の中頃から植林が始まりますが、風化した花崗岩は樹木の根を定着させることが難しく、大雨が降ると流されてしまう有様でした。

 昭和42年の災害後すぐに、県は新たに六甲治山事務所を設置します。都道府県で唯一の治山事務所です。
 復旧作業に取り組む中で、六甲山特有の崩れやすい地質に適した独特の工法が編み出されます。崩壊した斜面を階段状に切り、芝を張り付けて苗木を植栽する方法です。資材の変更はあるものの、現在も同様の方法で施工が行われています。
 地道な取組の結果、六甲山は現在の緑豊かな山に蘇りました。しかし、近年の雨の降り方からすると、豪雨災害が再び起こらないとも限りません。

 あれから50年。天災は忘れた頃にやって来ると言います。

 神戸県民センターでは、治山事業のほか、神戸土木事務所が砂防えん堤やダムの建設、河川改修、急傾斜地崩壊対策事業など、皆さんの生命と財産を守るハード対策を進めています。阪神・淡路大震災後には、国と共に六甲山グリーンベルト整備事業*2にも取り組んでいます。
 このようなハード面での対策と併せて、ソフト対策も進めています。
 土砂災害警戒区域等の指定を推進し、指定区域を表した「CGハザードマップ」や土砂災害の危険度を示す「地域別土砂災害危険度」等をホームページ*3で発信しています。また、6月を「豊かなむらを災害から守る月間」と定め、山地災害危険地区等に重点をおいてパトロールを実施するほか、8月には、「六甲山の災害展(特別展)」を、人と防災未来センターで開催します。
 今後も、災害の恐ろしさを風化させないため、減災活動につながる自助・共助・公助の在り方を考える場と情報を提供してまいります。

 6月5日は「六(6)甲(5)山の日」です。瀬戸内海国立公園編入から50年を記念し、六甲山について考える契機となるよう2006年に宣言されました。
 この機会に、身近な六甲山に潜む危険を知り、防災・減災への意識を高めていただけると幸いです。

 神戸県民センター長 谷口 賢行


*1 「たとえば住吉川の上流、白鶴美術館から野村邸に至るあたりの、数十丈の深さの谷が土砂と巨岩のために跡形もなく埋ってしまったこと、国道の住吉川に架した橋の上には、数百貫もある大きな石と、皮が擦り剥けて丸太のようになった大木とが、繁々と積み重なって交通を阻害していること、その手前二三丁の南側の、道路より低い所にある甲南アパートの前に多くの屍骸が流れ着いていること、それらの屍骸は皆全身に土砂がこびり着いていて顔も風態も分らぬこと」 ~谷崎潤一郎『細雪』より~

*2 平成7年の兵庫県南部地震により山腹崩壊が多数発生したことを受け、土砂災害の防止、無秩序な市街地の拡大防止を図り、安全に自然と親しめる場の提供を目的に、表六甲山麓の区域を対象に山腹工などの整備とともに、参画と協働による森づくりを進めています。

*3 兵庫県CGハザードマップ http://www.hazardmap.pref.hyogo.jp/(外部サイトへリンク)

 

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