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更新日:2019年10月25日

意見書 第7号

臓器移植の環境整備を求める意見書

 臓器移植の普及によって薬剤や機械では困難であった臓器の機能回復が可能となり、多くの患者の命が救われている。一方で、臓器移植ネットワークが構築されていない外国における移植は臓器売買等の懸念を生じさせ、人権上ゆゆしき問題となっている。

 こうした中、平成20年5月に国際移植学会は、各国は、自国民の移植ニーズに足る臓器を自国のドナーによって確保する努力をすべきことをうたった「臓器取引と移植ツーリズムに関するイスタンブール宣言」を行った。また、イスラエル、スペイン、台湾などでは臓器売買に加え、臓器移植ツーリズムが法律で禁止されるなど、諸外国等では法整備が進められている。

 このような動きが、我が国における平成21年7月の「臓器の移植に関する法律」の改正につながり、脳死下での臓器提供者は年々増加しているものの、日本臓器移植ネットワークによると、平成30年の臓器提供者数は97例にとどまっており、いまだ臓器提供数が必要数を大きく下回っている。その理由としてドナー数と臓器提供施設数が少ないことが指摘されており、対策が急務である。

 よって、国におかれては、国民の臓器を提供する権利、臓器を提供しない権利、移植を受ける権利及び移植を受けない権利を同等に尊重しつつ、臓器移植を国民にとって安全で身近なものとして定着させるため、下記事項に取り組まれるよう強く要望する。

1 ドナーを増やすため、国民が命の大切さを考える中で臓器移植に係る意思表示について具体的に考え、家族などと話し合う機会を増やすことができるよう臓器移植に係る更なる啓発に努めること。

2 臓器提供施設を増やすため、マニュアルの整備、研修会の開催など個々の施設の事情に応じたきめ細かい支援を行うこと。

3 臓器提供についての説明から臓器提供後のアフターケアまで、ドナーの家族に対してきめ細かい対応が可能となるよう移植コーディネーターの確保を支援すること。

4 臓器移植手術から移送までを担う臓器移植施設の担当医について負担軽減対策を講ずること。

5 海外における臓器移植の実態や課題等を調査し、その対策を講ずること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和元年10月25日

 

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣     様
内閣官房長官
厚生労働大臣

兵庫県議会議長 長岡 壯壽

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