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しばらくは、「ドライブ・マイ・カー」と聞くと、ビートルズより西島秀俊さんと真っ赤なサーブ900が目に浮かぶことになりそうです。
映画「ドライブ・マイ・カー」がアメリカ・アカデミー賞を受賞しました。
国際長編映画賞という部門での受賞で、日本映画の受賞は13年ぶりの快挙です。
映画の良し悪しと賞レースの結果は、必ずしも「正」の関係ではないかもしれませんが、素直に受賞を喜ぶべき、優れた作品だったと思います。
受賞後の報道等で、あらすじや評価が巷にあふれていますので、ここでは触れませんが、私の感想だけ言うと、「静謐で濃密な3時間」でした。「面白かった」ではなく、「沁(し)みた」が一番ぴったりくるような気がします。
この映画の原作は、村上春樹さんが2014年に発表した短編小説集「女のいない男たち」に収められている作品です。同名小説に加えて、「シェエラザード」「木野」の2作品のエピソードや設定を取り込んだものがベースになっています。
村上作品はほとんど読んでいますが、この短編小説集は、正直あまり印象に残っていませんでした。ですが映画を観た後、読み返してみると、印象が変わりました。映画の印象に引きずられたのかもしれませんが、物語の奥行きが増したような気がします。映画と小説の幸福な相乗効果といえるかもしれません。
さて、ここからが本題です。
先月、村上春樹さんが、「戦争をやめさせるための音楽」というテーマでラジオ番組を放送しました。
もちろん、ロシアによるウクライナ武力侵攻への抗議を意図したものです。
冒頭、村上さんはこう語ります。
「音楽に戦争をやめさせるだけの力があるのか。正直言って、残念ながら音楽にはそういう力はないと思う。でも、聴く人に『やめさせなくちゃいけない』という気持ちを起こさせる力はあります」
番組では、村上さん自身が所有するレコードやCDから選ばれた11曲が、村上さんによる歌詞の翻訳・コメントと合わせて流されました。
ジェームズ・テイラーの「ネバー・ダイ・ヤング」を紹介する際には、
「年寄りが勝手に始めた戦争で若い人たちが命を落としていく。昔からずっと続いていることですが、本当に悲しむべきことです」
とコメントするなど、抑えた表現ですが村上さんの憤りが伝わってきます。
「風に吹かれて」や「イマジン」など、超メジャーな曲も紹介されました。ただし、「風に吹かれて」はボブ・ディランではなくスティービー・ワンダー、「イマジン」はジョン・レノンではなくジャック・ジョンソンによるバージョン。オリジナルではないからこそ、曲自体の普遍的なメッセージが引き立ったような気がします。
番組の最後、村上さんはシンプルな言葉で締めくくります。
「世界が平和になるといいですね」
今、この時も、罪なき人々の命が奪われ、生活が脅かされています。
一日も、一瞬でも早く、戦争をやめさせなければなりません。
兵庫の片隅からでも声を上げ続ければ、いつか届くと信じたいです。
世界がどのような情勢であろうと、季節は巡ります。
新年度が始まりました。
阪神北県民局では、
今年度も、阪神北県民局をよろしくお願いします。
(追伸)
以前このメッセージで寅さんを取り上げた際、阪神北との関連について、元タカラジェンヌの八千草薫さんのみ挙げていたところ、読んでいただいた寅さんファンの方から「元タカラジェンヌは八千草さんだけやない。第3作『フーテンの寅』のマドンナの新珠三千代さんもやで」とのご指摘をいただきました。
まだまだ勉強不足ですね。ご指摘、ありがとうございました。
阪神北県民局長和泉 秀樹
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