令和4年7月局長メッセージ（阪神北県民局長　和泉 秀樹）

3年前、日本中が熱狂と興奮に包まれていました。

ラグビーワールドカップ2019。
日本代表の大躍進、世界トッププレイヤーによる国の威信をかけた闘いの迫力は、ラグビーを観たことがなかった多くの人々をも魅了しました。

「姫野のジャッカルが・・・」
「福岡のスピードが・・・」
「リーチのタックルが・・・」

など、今までラグビーファンの間でしか話題にならなかったことが、普通の会話で出ることも珍しくありませんでした。
ワールドカップの興奮冷めやらぬ2020年1月、国内リーグ戦の「トップリーグ」の開幕日は、どの会場も今まで観たこともない観客の入り。ラグビーが日本でもメジャースポーツとして定着するのでは、と期待を抱かずにはいられませんでした。

そして2022年、トップリーグを再編して、新たなリーグの「リーグワン」が開幕しました。コロナ禍の中での船出は、開幕戦のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ（S東京ベイ）vs埼玉パナソニックワイルドナイツ（埼玉WK）が埼玉WKの選手のコロナ感染により中止になったことに象徴されるように、非常に厳しいものでした。トップ12チームの「ディビジョン1」（1部）の平均観客数はプレーオフを含めて4,783人。テレビ放送も地上波はほとんどなく、有料の衛星放送がメインの状況では、「熱狂」とはほど遠かったと言わざるを得ません。

ラグビーの質自体は、確実に上がっています。初代王者を決める決勝戦、埼玉WKvs東京サントリーサンゴリアス（東京SG）は、埼玉WKのディフェンス、東京SGのアタックの持ち味が存分に発揮された、観ていて面白い好ゲームでした。

では、リーグワンには何が足りなかったのか。意外と、「わかりやすさ」ではないでしょうか。ルールのわかりやすさ、ではありません。チームの顔とも言える、チーム名のわかりやすさ、です。ここまで、あえて公式のチーム名と略称を記述してきました。

「クボタスピアーズ船橋・東京ベイ（S東京ベイ）」
「埼玉パナソニックワイルドナイツ（埼玉WK）」
「東京サントリーサンゴリアス（東京SG）」

ちなみに、一番長いチーム名は、
「NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安（SA浦安）」

実に29文字の「寿限無」状態です。
オールドファンには混乱をきたし、にわかファンには壁を作ってしまうネーミングと言われても仕方がないでしょう。
 

一方で、リーグワンが、従来の企業スポーツの枠を超えた活動を行っていることは評価すべきと思います。その一つは、社会貢献。先般行われた年間表彰式「リーグワンアワード2022」では「社会貢献賞」の表彰が行われました。受賞したのは先ほど紹介した、SA浦安。遠隔操作型の分身ロボ、オリヒメを使ったラグビー選手と地域の人々をつなぐ新しいコミュニケーションの先進的な取組みが評価されました。以前から「TRY For SDGs」を掲げ、早くからSDGsを意識した社会貢献活動に取り組んでおり、受賞した取組みもその一環でした。残念ながら、チーム再編によりSA浦安は今シーズン限りになりますが、社会貢献活動等は新チームに引き継がれることを願います。
 

兵庫県も、SDGsの視点を県政に取り入れ、内閣府が実施している「SDGs未来都市」を目指した取組みを進めています。阪神北県民局では、その取組みの一環として、今月から「県民だよりひょうご」の「阪神北県民局からのお知らせ」の面で、テーマに関連するSDGsのアイコンを表示します。まずは、SDGsを意識することから始めてみます。

＞県民だよりひょうご7月号＿阪神北版（PDF：599KB）
　

わかりにくいと言えば、SDGsも大概わかりにくいと思いませんか。何より「エスディージーズ」が言いにくい。かといって日本語訳の「持続可能な開発目標」というのも、いかにもお役所言葉という感じが拭えません。やっぱりネーミングって大事ですね。
私なりに、SDGsとは「いろんな問題を自分のこととして捉える」ことなんだと理解しています。そういう意味では、ラグビーの精神、「One For All,All For One」は、SDGsそのものなのかもしれません。
 

来年のラグビーワールドカップ2023に向けて、新生・日本代表が始動しました。6月にはウルグアイ代表と2戦2勝、その勢いのまま7月には次回開催国のフランス代表とのテストマッチが行われます。主力メンバーにケガ人が出ていますが、若手のチャンスでもあります。要注目です。
 

阪神北県民局長和泉 秀樹

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