魅力あふれる県立の農林水産高校
令和7年12月1日発行の「県民だより兵庫」12月号で紹介した、県立の農林水産高校(特徴的な3学科)について、専門性の高い学科ならではの魅力を、更に詳しく紹介します。
※こちらに掲載している情報は、令和7年12月1日時点のものです。
県立播磨農業高等学校 畜産科
同校の農業経営科、園芸科と並ぶ3学科の一つです。
西日本最大級の規模といえる、甲子園約8個分ほどの広大な敷地で家畜の世話(当番制で餌やりや掃除など)をしながら多様な実習に取り組み、実践的に農業経営を学ぶことができます。
1年生は共通の授業を受けますが、2年生からは、「酪農コース」と「肉畜コース」に分かれ、分野毎にさらに詳しく学び、実践的な経験を積むことができます。
酪農コース
乳牛(ホルスタイン種)、搾乳牛17頭、育成牛・子牛14頭、計31頭
- 敷地内で育てた飼料用の牧草(スーダングラス等)を発酵させて牛に与え、糞は肥料として畑に返す循環型酪農を実践しています。
- 1日2回(1頭当たり30リットル、計約500リットル)搾乳した生乳は、小野市の共進牧場へ出荷しています。小売店販売のほか学校給食としても飲まれています。
- 今年、10年ぶりに開催された第16回全日本ホルスタイン共進会では、同校が出品したホルスタイン種が、第2部で優等賞を獲得しました。
肉畜コース
肉牛(黒毛和種)
- 繁殖牛と肥育牛、計55頭の牛がいます。
- 徐角作業も、授業の一環で生徒が行います。
豚
- 繁殖豚は雄(デュロック種)1頭、雌(大ヨークシャー種とランドレース種)3頭、肥育豚14頭、子豚10頭の計28頭です。
- 加西市内の酒造会社の酒粕を餌に混ぜて育てる、SDGsなブランド豚「ハリマ夢ポーク」の生産にも力を注いでいます。
- ワクチン接種や去勢手術も生徒が行っています。
鶏
- 採卵鶏(ボリスブラウン)は150羽飼育しております。また、1人1羽、肉用鶏(チャンキー)をヒヨコから育て、解体実習も行います。
- 卵は洗卵し、パックに詰め年3回開催される「ぴよ吉マーケット」や「農高祭」などでも販売します。
県立播磨農業高等学校のHPはこちら
兵庫県立播磨農業高校 – 文部科学省指定農業経営者育成高等学校
県立農業高等学校 生物工学科
同校の食と環境のスペシャリストを目指す7学科のうちの一つです。
また、生物工学科があるのは県内では同校のみです。
主に、先進農業技術やバイオテクノロジーについて学ぶことができます。
1年生からKY活動(危険予知活動)で安全の確保について学び、電子顕微鏡や元素分析装置、ガスクロマトグラフ、高速液体クロマトグラフなどの最新鋭の機器が整った環境で実験の基本操作を学びます。
電子顕微鏡をはじめ、これだけの機器が揃い、設備が整っている高校は全国的にも珍しく、貴重な経験を積むことができます。
2年生から専攻科目を選択します。3年生ではさらに選択の幅が広がり、植物利用(品種改良など)、微生物(発酵など)、バイオマスの3類型から選択可能です。
高校生の間に実験ノウハウや英語の論文解読、統計法を習得している生徒も多く、卒業後、進学先の大学では1年生から上級生と共に研究を任されることもあります。
同校生物工学科では様々な取り組みを行っており、特色ある学科ならではの、専門性の高い経験を積むことができます。例えば、下記のような取り組みも行っています。
- 日本酒を代表する酒米「山田錦」は、背丈が高く倒伏しやすい課題があるが、品種改良を行い、背丈の低い山田錦を生み出し、栽培。(特許出願予定。)
- ブランド米をDNA鑑定し、食品偽装が行われていないか確認。
- ランを人工交配し、毎年、姫路市立手柄山温室植物園にて展示会を開催。
- 県内の農家が栽培するイチジク苗の病気(ウイルスなど)の排除。
- サツマイモも病気を治療したものを同校敷地内で栽培、本来の味を調査。
- 大学と共同でジャガイモの品種改良に挑戦する他、県立香住高校海洋科学科と協力し、深海魚を肥料化する取り組みにも挑戦。
県立農業高等学校のHPはこちら
兵庫県立農業高等学校 : Hyogo Prefectural Agricultural High School
県立香住高等学校 海洋科学科
同校は豊かな海と自然が身近にあり、研究題材が豊富のため海洋科学科では充実した実習を行うことができます。
地元とのつながりが強いことも魅力の一つで、シーフードコースで開発している缶詰も、地元漁協の漁師に提供してもらう情報なども元にし、開発しています。
アクアコースで行われるダイビング実習も、地元のダイバーに協力してもらっています。
専門性の高い学びが得られるため、かつては卒業後は就職する生徒が多かったのですが、近年は就職希望者は3割程度で大学や専門学校に進学し、さらに専門性を高める生徒が増えています。
1年生は共通の授業を受けますが、2年生からは各自の希望に沿って「オーシャンコース」「アクアコース」「シーフードコース」の3コースに分かれるので、年々コースの人数は変動し、男女比もその年によって異なります。
オーシャンコース
- 2年生の10月と3年生の6月に行われる漁業航海実習では、大型実習船「但州丸」に乗り、約40日間、日本近海を航行します。また、操船、甲板作業、漁業の3グループに分かれ、それぞれの実技作業を習得します。
アクアコース
- 2年間かけて海洋生物の飼育管理法、生物調査や分析法などを学びます。
- 皆でトラフグやアユを養殖したり、各自で希望する生き物を水槽で育てたりして、イベントとして「香住高校水族館」を開催。
- 海洋調査や養殖業に必要となるダイビングの実習もあります。
シーフードコース
- 2年生、3年生で行う水産加工実習では、地元や近海で水揚げされたサバやイワシを使って缶詰や干物の製造に取り組みます。獲れ過ぎて余ってしまった魚や、市場の需要が低く、売れない魚などの活用にも力を注いでいます。
- 缶詰は学校前に設置した自動販売機や、地域でのイベント、神戸新聞のオンラインストア「いいモノがたり」で販売しています。
県立香住高等学校のHPはこちら
兵庫県立香住高等学校 | 真理を究め、責任を果し、敬愛を尽くす
1次産業について学べる県立の高等学校
このような特色ある学科では、普通科では経験することができない、より専門性の高い経験を積むことができます。
実習を通して実践的に学ぶことで、将来につながる、専門的な知識や技術を高校生の間に身に着けることができることも、魅力の一つです。
上記3校の他にも、県内には1次産業について学べる高等学校が9校あります。(計12校)
職業学科の情報収集に役立つサイト
学校名や通学エリア、学びたい分野から高等学校を探せるサイトはこちら。
HYOGO HIGH SCHOOL SEARCH|兵庫県立高校検索サイト(外部サイトへリンク)
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産業教育|産業教育|高校教育課 | 兵庫県教育委員会(外部サイトへリンク)
県教育委員会事務局 高校教育課
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