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2023年8月、第1子が誕生した豊田聡司さん(38歳)。出産前から体調がすぐれなかった妻に「生まれた時に私一人では、生活が回らないよ」と、育休取得を促されていたそうです。
聡司さんは「自分の会社は男性社員も育休を取っているので、自分も取りたいと思いました。ただ、育休中は、妻は家事ができなくなるから、家事は僕がやると。そういうことを一番に考えていたんです。でも、妻にとっては”そばにいて不安な気持ちを分かち合えること”が大事でした」
妻のSさんも「生活していくためにやってほしいことはもちろんあるのですが(笑)、私は体調が優れず、不安な状況で一人でいるのが怖いというのを理解してもらいました」
二人は「結構、それが大事なポイントだった」と話します。
「育休を取る前に、言葉にして伝え合うことが大切でしたね。リクエストをしたり、気持ちを聞いたり。すれ違いなく育休をスタートできますし、育休期間もその考えをベースに、優先順位をつけて、育児と家事を考えられると思いました」
聡司さんは総合エンジニアリングメーカーの設計部門に勤めています。会社には育児休暇制度マニュアルがあり、取得方法の動画も用意されています。また、男性社員が休む期間は1か月、2か月、3か月以上などの例があるそうです。育休をとりたいとの考えは、上司に半年以上前に伝えていました。
「ただ、私の場合、妻の体調がよくない中、家事も仕事もする状況になってしまい、育休申請の書類などを調べるのは大変だなぁと感じていました。さらに、まとまった休暇をとるのも1か月ぐらいかなと考えました」
そこで、会社にある制度「積立休暇」を利用することにしました。1年間に与えられた有給休暇を翌年以降も積み立てて利用できる制度です。
「社内でも、積立休暇を活用して子育てした話を聞いていましたし、育休を取得するよりも手軽に申請できました」。生まれる直前から約1か月を「慶弔休暇」と「積立休暇」を組み合わせ、育児目的で休暇を取りました。
「若い社員の教育担当をしているのですが、その社員から”豊田さん育休とるんですよねー!”と声をかけられました。正直、驚きましたね。すごく当たり前に受け止めていることに。きっと人生の中で育休を取ることは想定の範囲なんだなと感じました。自分たちの世代だと、育休はハードルが高いと感じていたのですが。時代は変わってきていますね」
現在、聡司さんは休暇を終えて職場復帰。妻は生後3か月の娘が3歳の誕生日を迎える年の春まで育休を取得しています。
妻のSさんは「”育休”って言葉の響きとは違い、休んでいるわけではなく、子どものペースに合わせるかなりハードな日々です。大人二人だけの仕事中心の生活を過ごしてきた私たち共働き夫婦にとっては、子どもありきの生活に大きくギアチェンジ中です」
休暇取得の1か月、家事は、基本的に聡司さんが担当。もともと、共働きなので家事分担は半々だったそうですが「調乳も子どもの入浴も、休暇取得をしていなかったらできるようになっていなかったかもしれないです。一緒にいる時間が長かったからこそ、早く帰宅しないと妻が大変だと、実感して行動できます(笑)」と、現在の退社目標時間は午後7時。
「入浴担当をしているので、一緒に風呂に入る時の娘の笑顔を思い浮かべて、早く仕事を切り上げるようにしています」
将来は聡司さんが好きな広島カープの野球観戦や、妻のSさんが大好きな水族館に、3人で行くことを楽しみに育児に奮闘中です。
「自分達に合う『育休』の取り方をみつけてほしい」
夫婦二人で子どもを囲む時間を作れる育休は、幸せな時間を過ごせるきっかけになることは間違いないです。それぞれの家庭で、育児や家事の役割分担、親の手助けがあるかないかなど異なります。育休といっても、長さや期間も色々考えればあるのだと、自分たちが取ってみて思いました。事情に合わせて、柔軟に考えるのもありだと思います。
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