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更新日:2019年9月24日

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平成30年度ひょうご基幹道路ネットワークシンポジウム(高砂)

「地域産業の活性化」「交流の拡大」「緊急輸送機能の確保」「交通安全の向上」など、安全・安心で活力ある地域づくりを支える基幹道路ネットワークについて幅広く情報発信するため、播磨臨海地域道路をテーマとして、シンポジウムを開催しました。

概要

 

  1. 日時:平成30年8月1日(水曜日)14時00分~16時00分
  2. 場所:高砂市文化保健センター(外部サイトへリンク)
  3. 出席者:約430名
  4. 来賓:播磨臨海地域道路整備促進国会議員連盟、播磨臨海地域道路網促進期成議員連盟(兵庫県議会議員連盟)、国土交通省近畿地方整備局
  5. 主催:兵庫県、播磨臨海地域道路網協議会(姫路市・加古川市・明石市・高砂市・稲美町・播磨町・太子町)
  6. 後援:播磨臨海地域道路網建設促進協議会(姫路商工会議所・明石商工会議所・加古川商工会議所・高砂商工会議所・稲美町商工会・播磨町商工会・太子町商工会)

 

出演者

 

藤井 聡

(内閣官房参与/京都大学教授)

八木 早希

(フリーアナウンサー)

大原 みれい

(株式会社 日通総合研究所)

森本 幸吉

(高砂商工会議所会頭)

荒木 一聡

(兵庫県副知事)

 

会場の様子

 

基調講演全景

シンポジウム会場全景

 

基調講演「播磨から始まる日本の新たな創造と成長」 藤井 聡 氏(内閣官房参与/京都大学大学院教授)

高速道路を整備することで、建設費用をはるかに上回る経済効果がある。この播磨臨海地域道路は、早くつくらないといけない道路であり、つくらないのは愚か者だ。一般的に、高速道路のインターチェンジから近いところほど、商業や工業が伸びている。これが高速道路の力。高速道路がある地域は成長して、無い地域は成長しない。高速道路ができると、企業や工場が進出するため、そこに雇用が生まれ、人口が増え、税収の増加にも繋がる。きちんと計画して道路をつくれば、国、自治体、商売人など、みんなが儲かる。例えば関東では、首都圏中央自動車道のIC周辺に産業団地ができた。もともと田園ばかりだったのが、近代製品を生産する土地に生まれ変わった。東海環状自動車道では、10年でアウトレットができ、温泉施設ができた。道路は公共投資だが、雇用が生まれ、人口が増えることで、民間の住宅投資まで誘発し、人口流入が始まる。道路をつくると、土地の意味が変わる。意味が変わると、価値が変わる。日本人は、この高速道路の力を過小評価している。最近道路をつくっていないので、その効果を実感できず、世論が小さくなっている。世論が小さくなっているから、道路ができず、効果を実感できないという悪循環になっている。

播磨臨海地域は大きなポテンシャルを有している。平成26年の設備投資額は約2,800億円で、近畿圏で一番大きい。8年間では合計約2兆円もの投資がされている。投資が大きいので、製造品出荷額も高水準で、豊田市に次ぐ全国第2位となっている。日本全体が低成長にある中、播磨臨海地域はこれだけ投資が続いている。関西、そして日本の希望である。当地域には約400haの工場適地があり、神戸臨海部25haの約15倍の開発余力がある。神戸まで開発が進んだので、次は播磨地域。だが近年は、投資額、製造品出荷額ともに伸び悩んでいる。なぜなら、基幹道路の整備が追いついていないからだ。播磨臨海地域の断面交通量は1日約12万台で、阪神臨海地域の約13万台に匹敵する。観光、ビジネスの交通もあるが、基本は物流交通が多い。しかし播磨には国道2号バイパスの6車線しか無い。阪神には神戸線と湾岸線で合計10車線ある。この時点で、ここに道路をつくらないということはあり得ない。関西、そして日本の発展のためにも、日本国民全員が、ここに道路をつくらせてください、と言ってもいいぐらいの道路である。

国道2号バイパスは、交通容量の約2倍の交通量があり、慢性的に渋滞している。渋滞で移動時間が長くなれば物流コストが上昇してしまうため、工場立地を阻む要因にもなっている。だから工場適地が余っている。高速道路の整備には費用がかかるが、投資した以上の効果が期待できる。何兆円もの投資が始まる、消費も始まる。投資することでどれだけのビジネスが始まるかを考えるべき。高速道路は将来世代も利用する。今は低金利であり、インフラ投資は国債発行で資金調達して早くつくるべき。それだけのポテンシャルが播磨臨海地域にはある。ここで投資しないと、日本国民は馬鹿ということになる。そうでないことを証明するためにも、是非、ここに早く道路をつくっていただきたい。

 

話題提供「播磨臨海地域道路に期待すること」 森本 幸吉 氏(高砂商工会議所会頭)

播磨臨海地域では、国道2号バイパスや国道250号などの東西幹線道路の交通量が、交通容量のほぼ2倍となっている。また、南北幹線道路でも容量を超過している路線が多く、交通が集中する朝夕の通勤時間帯には、市内の交差点で大渋滞が起こっている。兵庫県管理道路の渋滞交差点70箇所のうち、約半数の36箇所が播磨臨海地域に集中している。

現在、大型車などの産業交通は、臨海部の工場から南北幹線道路を通って加古川バイパスに向かう。産業交通と生活交通が混在するため、交通量が増加している。播磨臨海地域道路が完成すれば、この産業交通が南北幹線道路を通過することなく、臨海部から直接、神戸・大阪など東西方向にアクセスできるようになる。播磨臨海地域道路は、東西の流れを変えるだけでなく、南北の交通渋滞も解消する。また、加古川バイパスとのダブルネットワーク化により、交流の拡大、緊急輸送機能の確保、交通安全の向上なども期待できる。

近い将来、自動運転社会が到来し、物流も大きく変わる。これから10年、社会は大きく変化していく。高砂商工会議所は今年「クリエイティブ・ディスラプション ― 破壊と創造イノベーションに挑戦 ― 」をスローガンに掲げている。私はこの道路の事業推進と共に、ふるさと播磨の地に「イノベーション」を起こしたい。

最先端の科学技術、土木技術がこれから播磨臨海地域に集まってくる。皆さんご一緒に、時代の先を行く新しい高砂市、播磨臨海地域づくりに挑戦していこうではありませんか。未来を切り開く鍵は私たちの手にあります。しっかり扉を押し開けて、輝く未来を創りましょう。

 

パネルディスカッション「地域の未来を開く播磨臨海地域道路」

【コーディネーター】

【パネリスト】

八木 早希(フリーアナウンサー)

藤井 聡(内閣官房参与/京都大学大学院教授)

大原 みれい(株式会社 日通総合研究所)

森本 幸吉(高砂商工会議所会頭)

荒木 一聡(兵庫県副知事)

 

  • ○八木 兵庫県は県政150周年を迎えた。
  • ○荒木 摂津、播磨、但馬、丹波、淡路の旧五国が集まって成立した兵庫県は、「日本の縮図」と言われるように、多様な地域を合わせ持っている。これまで、県内の基幹道路は東西に3本、南北に3本の6基幹軸として整備を進め、基幹道路ネットワークの総延長は、北海道に次ぐ全国第2位の約723kmとなっている。基幹道路の整備とともにGDP、製造品出荷額等も大きく成長し、50年間で兵庫県のGDPは約14.5倍、人口は約1.3倍に伸びた。播磨臨海地域ではGDPが約19倍、人口が約1.6倍と県全体より伸びている。
  • ○八木 今後のお話も伺いたい。
  • ○荒木 人口減少や少子高齢化が進む中、産業活性化や観光振興を進めていくために、基幹道路ネットワークの果たす役割は大きい。今後は「阪神播磨臨海軸」「播磨丹波但馬軸」の2軸を加えた八連携軸を目指していく。
  • ○八木 藤井教授、兵庫県、そして関西の基幹道路整備はどのような印象か。
  • ○藤井 関東では東京3環状がほぼ概成している。一方、関西では主要な道路のうち幾つかが抜けており、その一つが播磨臨海地域道路。あとは日本海軸、これは兵庫県だけに限らず、日本列島全体で弱い。

テーマ1「播磨の魅力」

  • ○荒木 播磨臨海地域は、戦後日本経済を牽引してきた4大工業地域のひとつ。県でも播磨科学公園都市やひょうご情報公園都市などの整備を進めてきた。世界遺産「姫路城」や、日本遺産「銀の馬車道」などの観光資源もあり、これからますます発展する地域。
  • ○森本 世界トップレベルの企業が集積している。高砂市ではAGCの液晶用ガラス基板、キッコーマンのしょうゆ、サントリーの清涼飲料水、カネカの還元型コエンサ゛イムQ10、神戸製鋼の組立型・一体クランクシャフト、ウシオ電機の高精細プリント基板用ステッフ゜&リヒ゜ート投影露光装置、三菱日立パワーシステムズのガスタービン等が代表的。また、高砂市は山と海と川に恵まれており、鹿島神社や堀川地区などの観光資源も豊富。万灯祭には2日間で約8万人が訪れ、各神社の秋祭りも観光客で賑わう。
  • ○八木 コエンサ゛イムQ10やキッコーマンのしょうゆは我が家にもある。これだけの企業が集積する、まさにものづくり拠点で、観光面でも魅力的だと分かった。
  • ○大原 当地は1日当たり2~3万トンの物流が発生している。輸送ルートは主に国道2号バイパスが使われており、半数以上が神戸・大阪方面へ運ばれていく。そのほとんどをトラック輸送に依存しているが国道2号バイパスが渋滞しているため、著しく物流効率が低下している。
  • ○藤井 先進国の中では、日本の基幹道路の整備は、ネットワーク、車線数の面でも圧倒的に遅れている。

テーマ2「播磨は今後どうあるべきか(課題と対策の方向性)」

  • ○八木 道路は繋がってこそ機能を果たす。播磨の道路はどうあるべきか。
  • ○荒木 姫路、加古川バイパスはともに老朽化が進み、今後10年で、建設後50年以上を迎える橋梁が197橋ある。工事の際には通行規制が避けられず、代替性の確保が必要である。阪神臨海部には東西方向に2本あり、南北方向にも接続が予定されているが、播磨臨海地域には国道2号バイパス1本しかない。
  • ○八木 先日の大阪地震でも、代替道路の必要性を感じた。経済面でも停滞する。
  • ○藤井 民間企業の成長には設備投資は不可欠だが、公共事業になると無駄遣いという議論になる。投資が無いと成長があり得ないのは官民同じ。
  • ○大原 物流業界が抱える課題は人手不足と高齢化。特に若年層や女性が少ない。2020年に大型トラックのドライバーが10.6万人不足し、荷物を運べない状況になる。仕事に合わせた働き方ではなく、人に合わせた働き方へと変えていく必要がある。そのために新しい高速道路では中継地点や休憩施設を整備し、料金体系も見直すべきだ。
  • ○八木 産業、経済の活性化は物流あってこそ。経済界の取り組みは。
  • ○森本 平成19年に播磨臨海地域道路網建設促進協議会を設立し、本道路の早期実現に向けて、国会議員や国土交通省へ要望活動を行っている。

テーマ3「地域の未来を開く播磨臨海地域道路」

  • ○八木 地域の未来を開くために、播磨臨海地域道路に求める姿は。
  • ○大原 物流に優しい道路、物流インフラを変えていく先駆けとなって欲しい。
  • ○森本 北欧や中国では、社会実験に取り組み、新しい施策を次々と打ち出している。播磨臨海地域道路はこれから整備する道路なので、新しいイノベーションを皆様とともに考えたい。
  • ○八木 本道路の実現に向けて一言。
  • ○荒木 この道路が兵庫県、そして日本にとって重要な道路であることをご理解いただけたと思う。今後、住民の皆様一人一人のご意見を大事にして、皆様のご要望を踏まえて進めていきたい。
  • ○八木 藤井教授が「この道路をつくると儲かる」と言われていたことが、改めてご理解いただけたのではないか。道路は移動手段のためだけにあるのではないということが良く分かった。関西、そして日本の経済を牽引していくためにはこの道路が必要。この道路整備を皮切りに、一段と発展していく播磨臨海地域に期待したい。

 

お問い合わせ

部署名:土木部 道路企画課 計画推進班

電話:078-362-3519

内線:4479

FAX:078-362-3948

Eメール:dourokikaku@pref.hyogo.lg.jp