総合土木職(農業土木分野)の仕事内容
総合土木職(農業土木分野)3つのミッション
【1】農業生産を支える農地・水路の整備
農産物の生産性を高め、環境条件に適したスマート農業の導入が可能な基盤作りを促進する。
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【2】農村地域の人と財産を守る防災対策
ため池等農業水利施設の防災対策を徹底し、農村地域の人や財産を守る。
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【3】農村での共同活動が生み出す地域の活性化
農村エリアの機能(環境学習の場/景観など)を活用し、非農家も含めた地域の維持と発展につなげる。
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1.農地整備(スマート農業の導入)
- 農業生産の効率化のため、小区画・不整形なほ場を大区画に整形。狭小な農道を広くまっすぐな道に、用排水兼用の水路を分離し、開水路をパイプライン化するなど、地域の営農形態に沿った農地の整備を行います。
- 無人トラクターやスマートフォン等による遠隔操作で給水が可能な自動給水栓など、最新のICT技術を活用したスマート農業が可能となる農地の整備を推進しています。
整備前(整形される前の田んぼ)
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整備後(大区画整形されたほ場)
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無人トラクターによる耕耘(こううん)
ドローンによる農薬散布
2.用排水施設の整備
- 水路や用排水機場などの水利施設を整備することで、農業用水の安定的な供給や農地の排水不良の改善を図り、作物の生産性を向上させます。
- 古くなった水利施設(井堰や水路)を計画的に補修・補強することにより、農業者の施設管理の負担を軽減し、持続可能な営農環境を整備します。
整備前(土砂で形成された用水路)
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整備後(コンクリート製品による排水路)
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整備前(経年劣化によりさびが目立つ井堰)
整備後(補修完了後の井堰)
3.農道の整備
- 農道は農産物の輸送や農地への通路になるほか、災害時における迂回路や輸送路、集落間を繋ぐ新たなネットワークとしての役割があります。
- 農道整備を進めることにより、農業生産の向上による地域農業の振興と農村地域の活性化を目指します。
整備前
整備後
【1】について詳しく知りたい方は農業生産基盤の整備をご覧ください。
1.ため池の防災対策
- 決壊すると、下流に被害を及ぼすため池を定期的に点検し状況把握に努め、緊急性の高いため池から計画的かつ集中的に改修や廃止工事を推進しています。
- 豪雨・耐震対策の改修工事や利用実態のないため池の廃止を行い、堤体の遮水性・安全性の向上や災害の未然防止を図ります。
- ため池の防災対策の先進県として、将来を見据えた保全・管理、改修工事等の新工法や治水活用などの導入・普及に取り組んでいます。
整備前
整備後
2.地すべり対策
- 地すべりとは、土地の一部が地下水等に起因してすべる現象又はこれに伴って移動する現象のことです(下記イラスト参照)。
農地・農業用施設をはじめ、人命・人家及び公共用施設等の被害を未然に防止し、国土の保全と安全な生活環境を実現するために地すべり対策事業を行っています。
また、地すべりの恐れがある地域を防止区域として指定し、管轄しています。
- 地域の方や市町と連携して土地の変動兆候の早期発見に努め、確認された場合は現地調査を行い必要に応じて対策工事を行います。
また、施設については、「機能保全計画」に基づき対策工事を行い施設の長寿命化を図ります。
地すべり対策施設(集水井)外観
3.井堰(いせき)の応急対策
- 河川から農業用水を取水する井堰や樋門について、現況施設の多くは河川管理の基準制定以前のもので、耐久性の不足や現行の基準に適合していないことが問題となっています。
- 洪水時に流水を阻害する要因となるため、施設の改修工事または撤去が必要であり、河川管理者(国交省・県土木等)と協議のうえ改修を行っています。
整備前
整備後
【2】について詳しく知りたい方は兵庫県ため池防災工事等推進計画をご覧ください。
1.地域共同活動への支援
- 農村地域の過疎化が進行する中、地域ぐるみの共同活動(草刈りや水路の清掃など)による持続可能な体制づくりのため、「多面的機能支払交付金」により、地域ぐるみの共同活動を支援しています。
- 兵庫県は全国的に見ても地域活動が活発で、共同活動に加え生態系保全や景観形成など、農業・農村が持つ多面的機能(※)の更なる増進を図る活動に取り組んでいます。
2.地域共同活動への参画
- 地域の共同活動に参画し、効果的な活動になるようにサポートをします。
例えばため池で行う清掃活動への参加や、生き物調査を通じた、農村の多面的機能(※)を小学生に説明する講師を務めるなど地域の活動に貢献しています。
- 共同作業のうち最も負担が大きい「草刈り作業」について、機械導入やしくみづくりによる軽労化・省力化を推進しています。
例えば、「草刈りフィールド・ラボ」として、最先端の技術を体験できる場を提供しています。
(※)農業を通じた農山村の営みは、食料生産はもちろん洪水防止や生態系の保全だけでなく、美しい景観や伝統文化や人々の心を育て、癒やしを提供するなどの役割があり、その利益は広く国民が享受しています。この役割を「農業・農村の有する多面的機能」といいます。
生き物調査
かいぼり(※)作業
小学生へのため池教室
草刈りフィールド・ラボ
(※)かいぼりとは…
冬時期のため池点検に合わせて、池の水を抜き、池底に溜まった泥を下流に排出することで、池の貯水量を回復させたり、栄養分を多く含む泥が下流の生息地を豊かにする効果があります。
「営農で使う水を大切に維持していく」ために行われる伝統的な手法です。
【3】について詳しく知りたい方は多面的機能支払交付金をご覧ください。
本庁と地方機関の違い
本庁
兵庫県が抱える課題や目標とする展望を実現する施策の立案と決定を行います。
地方機関
各地域における課題解決のための事業計画を策定する課(農村計画課)と、計画の実施に向けた調査・設計、工事を実施する課(整備課)に分かれています。
農村計画課
関係市町及び関係農家と協議・調整し、事業メニュー・整備区域・対策工法・負担金などについて話し合い、地域の合意形成を行い、事業実施に向けた全体計画を策定します。
整備課
定められた事業計画に基づき、工事の設計・積算を行い、工事を発注します。
契約した施工業者とともに工事の施工計画を立て、工事中は品質管理や工程管理など、より良い成果品を目指して現場監督を行います。
完成後は関係農家に引き渡し、事業完了(農家の財産を預かり、いいものにして返すのが仕事)です。
新規採用職員のほとんどがこの整備課に配属されます。(例外あり)
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