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関係農家と県職員

どのように社会や人の役に立ち、貢献しているのか。本職種の本質が対談から見えてきます。

コンテンツの目的

本職種が地域の中で最も関わりの強い農家に直接インタビューし、県職員(本職種)のことを語って頂きました。現場の生の声だからこそ見えてくる、農家から見た県職員の印象や期待していることなど、本職種の意義ややりがい、将来性についてお伝えします。

インタビュー対象者

屋形土地改良区(市川町)
理事長
高田正史さん(77)

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姫路土地改良センター
職員
森怜菜(25)

最初の印象とは180度違う。ひたむきな姿勢が好印象

地元農家と県職員

お二人が出会ったきっかけは?

森:私が屋形地区の担当になったのは2年前からで、そこからのお付き合いですね。3名の先輩と私を含めて4名でこの地区の整備を進めています。

高田さん(以後:高田):平成28年頃、基盤整備事業実施に向けて推進委員会を組織してから事業の具体的な説明や今後の進め方について指導して頂いた。現在は姫路土地改良センターの方に担当してもらっていて、森さんもその担当の一人だね。『最初は若い娘だなぁ』と思ったけど(笑)一生懸命に取り組んでくれるし、ひたむきな姿勢が好印象。今はちゃんと担当者としての認識が根付いているよ。

森:ありがとうございます!

日頃はどんなやり取りをしている?

高田:毎月1回、屋形の公民館で工程会議を開催して、そこで工事進捗の報告や今後の工程計画、不具合箇所の問題点などを意見交換しているね。森さんを含む4名の県担当者と市川町役場3〜4名、屋形の農家数名、計20名くらいでやっているかな。

森:皆さんの土地をお借りして工事をさせて頂いているので、きちんと情報共有する責任があると思っています。今担当している工事は2022年度内、もしくは23年度の初めには完了する予定です。

高田:工事が終わっても補完工事をする必要があるから、こうした情報交換の場は大事だと思うよ。

ほ場整備を通じて農家の作業効率は大幅にUP

森さんの仕事に対する姿勢はどうですか?

高田:最初は若い娘の印象だったけど、工事完了後の不具合や改善、要望にもできる限り対応してもらっているので感謝しているよ。屋形地区としては非常にありがたい。月日が経つにつれてより気軽に話し合えるようになったね。

県の事業に参加して良かったことは?

高田:一つ目が費用面だね。水路を少し工事するだけでも何十万、何百万円とコストがかかるからね。それを県が関わることによって費用面を補助してくれる。これは非常にありがたいね。二つ目が実作業面で作業効率が上がったこと。これまで一反(約1,000平方メートル)だった面積が、一町(約10,000平方メートル)の整形田になって、農業機械の走行性が大幅にアップしたよ。そのお陰で整備前より1日の作業時間を短縮できるようになって、なにより体への負担が軽くなったことがありがたいね。年齢のこともあるから、営農が楽になったのは本当に嬉しいし、続けていく上で労力の削減は重要なポイントだと思うよ。

森:そう仰って頂けると励みになります!

高田:ほ場整備した場所は土手が高くなって作業するたびに上がったり、下りたりして不便なこともあるけど、残っている課題は県担当者とどのように解決すればいいのかを話し合っているよ。

地元農家と県職員

地元農家と県職員

現場へ行く度に大区画の農地が出来上がっていく

地元農家と県職員

一番心に残っている森さんとのエピソードは?

森:高田さん、何が心に残っていますか?

高田:ちょっと前に一緒に作業したグランドカバープランツ(地面を覆う植物を植えること。雑草対策にも効果がある。)の試験施工かな。6種類の植物でどれが現地に適するのかをテストしたね。森さんを含めて役員や専門の業者も来て指導して頂いたよ。

森:ありましたね。大変な作業でしたが、皆で一つの目標に向かって進む達成感とやりがいを感じられました。

高田:草ひき(草むしり)や水やりのお世話が大変だけど、数年後には必ず効果が出ると思うよ。

森さんは元々この分野に興味があったんですか?

森:大学では農業土木分野を勉強していたので知識を活かせると思い興味がありました。実際入庁してみると色々な現場を直接自分の目で見られるのが楽しいですね。工事がスタートすると、行くたびに図面通りに現場が出来上がっていくのを見るとワクワクします。この仕事をして改めて気づいたんですけど、農地って三角だったり、細長かったり、色々な形があるんですよ。でも農家の方の視点で言うと歪な農地だと作業効率が落ちる。それを整備して喜んで頂けるものに変えていく、とてもやりがいがありますね。

高田:その通り。歪な形だと機械が入らない場所ができて結局二度手間になってしまうからね。現場の実情をよく把握できていて感心するね。

スマート農業が農業の未来を切り拓く

高田さん、農業を維持していくための課題とは何ですか?

高田:予想できるだろうけど、後継者問題だね。ほ場整備後の管理は(株)屋形営農と認定業者1社で管理しているんだけど、殆どの地権者は今後の管理は営農がやってくれると認識しているから土地のことは全く無関心なんだ。工事前は各地権者や耕作者が自分達でやったり、何が何でも後継者を見つけたりして努力していたんだけど事業が決まってからは丸投げだね。私も含めて役員の年齢は80歳前後で高齢者ばかり、今後は若い40〜50代の人たちにも休日の作業に参加してほしいね。日当もちゃんと出るんだし。そうそう、森さんも土日はアルバイトに来てもいいんだよ(笑)

森:行きたい〜!けど、職員の副業は禁止なので残念です(笑)。そのかわり、今県ではICTを使ったスマート農業を推進しています。機械を自動運転したり、収穫量がリアルタイムで予測できたり、作業を便利にすることで労力削減にも繋がるので視野を広げれば、後継者問題も少しは解決できるかもしれません。予算面も含めてまだまだこれからのお話なんですけどね。

高田:スマート農業、聞いたことはあるけど、まだまだ課題は多そうだね。森さんのような若い人たちの発想で近い将来実現させて欲しいね。

森:私も含め県全体でサポートしていきます!(経験を積んで良い提案ができるよう努力していかなきゃ…)

高田:直近の課題は農薬や肥料、諸資材の価格が値上がりしているのに、農産物価格(米価・麦価・野菜価格)は従来のままということ。消費者にも形状不良、傷あり、不揃いなどの農産物も味は変わらないことをPRして販売促進や出荷価格面での改善にも取り組んで欲しい。ああ、これは森さんの部署の話ではなかったね。

森:いえ、私も農業全体の課題は理解しておく必要があると思っています。

高田:そう言ってくれると今後に希望が持てそうだよ。

地元農家と県職員

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森さん、改めてこの仕事の大変な部分と将来の目標は?

森:専門的な知識が多くて、頭では覚えていても実践で使えないことですね。工事監督としての経験値もまだまだ足りないので、問題が起こった時も対応策がすぐに思いつきません。でもそんな時は頼れる先輩や上司に相談すると的確にアドバイスをしてくれるので安心して仕事に取り組めています。

高田:この事業をやっていると農業土木に関する実践的な知識や専門用語、資材の名前、施設について触れる機会が多いと思うから毎日成長しているんじゃないか。

森:本当にそうです。日々勉強ですね。今は将来のことまで考える余裕がないというのが正直なところですが、今後はICT技術やスマート農業の普及を目指して、農家の方が抱える課題解決に向けて役立っていきたいと思います。

高田:頼もしいね。期待しているよ。

森:ハイ!頑張ります!

本日はインタビューにご協力頂きましてありがとうございました!

 

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