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更新日:2023年3月27日

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丹波県民局長メッセージ(令和3年7月)

 

 6月に入り、丹波でも30度を超える真夏日も現われ、一気に夏めいてきました。緊急事態宣言下で一部イベントは延期を余儀なくされたものの、夏到来とともに、今年度事業が本格スタートしました。

 今年度、県民局として最も力を入れている取組の1つが「移住対策」です。大都市圏に近接する丹波は元々移住先として関西屈指の人気エリアでしたが、今般の地方回帰の波を受け、丹波への関心はかつてないほどに高まっています(令和2年度の相談件数は、前年度の1.5倍に達しています)。県民局ではこの機を捉え、丹波暮らしの魅力のさらなる発信に努め、UJIターンの推進、移住者数の拡大を図っていこうとしています。

 移住対策を進めるにあたって最も重要なのは、移住者による生の声の発信です。昨今の移住の動きをみると、「移住者が移住者を呼ぶ」流れが全国各地で起きています。移住者が自らの目線で暮らしぶりや地域の魅力を発信することで、新たな移住者の呼び込みに成功しているケースが増えてきています。

 このため、丹波でも近年移住者の団体・ネットワークと行政(県民局・市)が協働・連携し、移住者の発信力やネットワークを活かした取組を進めています。移住者の方には、たんば元気人材バンクにご登録(登録者:388名(令和2年度末))いただき、交流イベントなどでゲストスピーカーやスタッフとして活躍いただいています。

 昨年度は、コロナ禍で移住者と移住希望者が出会う対面の交流イベントは中止(令和3年度は実施予定)を余儀なくされましたが、移住者の方にご参画いただき、数多くのオンライン・イベントを企画・実施しました(令和2年度:計73回開催、延べ702名参加)。少人数での年間40回以上にのぼる朝の交流会、丹波起業家が語る丹波暮らしセミナー、東京の参加者と丹波の農業者をオンラインでつなぐなか、農業者提供の丹波産野菜を一同で賞味し、丹波の食の豊かさを語り合う丹波ナイトなど、工夫を凝らして様々なイベントを実施しました。イベント後、一部の参加者は、県民局のお試し滞在支援制度を利用して丹波に来て、移住者の方と直接交流されました。

 

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              丹波ナイトの様子                 イベントで一同が賞味した丹波産黒大豆使用の豆ご飯

 

 この3月には、移住者の方々の編集で、個性的なライフスタイルを送る移住者を紹介する冊子、

不便な田舎の自由なくらし いなかの生き方図鑑(PDF:6,726KB)』が刊行されました。この冊子では、12人の移住者の移住、起業・就業までの経緯をマンガ仕立でわかりやすく伝えています。個々人の紹介ページには、連絡先のQRコードを掲載し、その人の暮らしぶりに関心を抱いた人が、当人と直接コンタクトがとれるようになっています。今後、この冊子を介して移住者と移住希望者の間に新たな交流が生まれることを期待しています。

 

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 『不便な田舎の自由なくらし いなかの生き方図鑑』

 

 また今年度からは、近年丹波に移ってきた4名の若手移住者の方々に移住コーディネーター(「タンバサダー」)(外部サイトへリンク)にご就任いただきました(丹波篠山市、丹波市各2名)。いずれも、レストランやゲストハウス、農園などの運営に携わり、丹波暮らしを心より楽しんでおられる方々です。タンバサダーの方には、等身大のロールモデルとして、若年層の移住希望者が数年後の自分の姿を想像するうえで有益な体感的情報を発信いただくことを期待しています。今後、市の移住相談窓口と連携し、お試し滞在施設(ゲストハウス、農家民宿等)に滞在する移住希望者のニーズに対応して、現地案内や移住者の紹介などのサポートを行うこともお願いする予定です。

 

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 これまで移住情報の発信や移住者との交流に係る事業をご紹介してきましたが、移住対策はこれにとどまりません。訪問者を交流・滞在、二地域居住、移住・定住へと誘うには、その入り口となる体験型観光の推進が重要なため、県民局では今年度から地域の魅力を体感できるコト体験コンテンツの開発を行おうとしています。また、移住希望者等が一時滞在できる施設の整備・利用促進の観点から、農家民宿のネットワークづくりにも乗り出しています。さらに、移住者が移り住める住宅の確保に向け、地域再生大作戦のメニューを活用し、古民家等の空き家調査への支援にもあたっています。このほか、移住者等が起業しやすい環境の創出に向け、起業家ネットワークの形成やテレワーク拠点の整備等を提唱するシリ丹バレー構想(外部サイトへリンク)の推進も図っています。すなわち、県民局では移住対策を観光、住宅、産業振興等の施策と連携して実施すべき‘総合対策’と位置づけ、その推進を図ろうとしています。

 もっとも、移住に関してはすぐに人口増につながるほど即効性のある対策があるわけではありません。丹波地域への移住者数は、令和2年度には225人と、前年度から100人も増えましたが、それで全体の人口減が食い止められたわけではありません(令和2年度丹波地域総人口の推移:▲494人[推計人口: R2.4~R3.4])。我が国の人口減少トレンドは長期に及ぶことから、今後も、地域人口の減少を抑止するのが困難な状況が続くものと予想されます。

※丹波篠山市、丹波市の移住相談窓口での相談者のうち実際に移住した人の数

 しかし、希望がないわけではありません。遠くヨーロッパに目を向けると、1970年代以降「逆都市化」(counter-urbanization)が進行しています(安藤・ロウ(2012))。すなわち、自然との共生、生活の質の向上を求めて、大都市から郊外の農村地帯に移住する人が増えています。その結果、圏域全体の人口が減少するなかでも、一部農村では人口増になっているそうです。大都市に近接するも、日本の原風景が残り、豊かな自然に恵まれた丹波地域は、我が国の中でも逆都市化が実現する可能性を秘めた地域の1つであると認識しています。丹波の地を‘逆都市化の最前線’にすべく、腰を据えて、移住対策の推進に取り組んでいきたいと思います。

※安藤光義・フィリップ ロウ編(2012)『英国農村における新たな知の地平―Centre for Rural Economyの軌跡』農林統計出版

 

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 兵庫県に対する「まん延防止等重点措置」が解除されました。しかし、本県では、新規感染者数の下げ止まりの状況が続いています。このため、重点措置解除後において、絶対に感染リバウンドさせないために、引き続き、気を緩めることなく、感染対策の徹底をお願いします。

 

 丹波県民局長  今井 良広

 

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