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県民緑税を活用した「災害に強い森づくり」の第3期対策の取組状況を下記のとおりまとめました。
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森林は、水資源のかん養、山地災害の防止、地球温暖化の防止、生物多様性の保全などの公益的機能を有する県民共通の財産であって、これを維持・保全し、次代に継承していくことが極めて重要です。このため、木材生産にも配慮しながら、公益的機能を高度に発揮する「豊かな森」を県民総参加で守り、育て、活かし、拡げる取組を進めています。
その具体的方策として、多様な地域特性を活かして森林の保全・再生をめざす「新ひょうごの森づくり」に取り組むとともに、平成18年度から「県民緑税」を導入し、「災害に強い森づくり」として事業に取り組んでいます。
平成28年から令和2年度にかけて実施した第3期対策では、平成30年7月豪雨の際、宍粟市等での整備済箇所において流木や土砂の流出を防止するなど、森林の防災機能は着実に高まりつつあります。
【事業内容】
区分 |
全体計画 (平成28年-令和2年度) A |
実績 |
全体計画に対する進捗率(B/A) |
||
---|---|---|---|---|---|
累計 B |
うち令和2年度 |
||||
1. 緊急防災林整備 |
斜面対策 |
4,500ha |
5,041ha |
1,006ha |
112% |
渓流対策 |
234ha |
203ha |
27ha |
87% |
|
2. 里山防災林整備 |
1,040ha |
1,459ha |
272ha |
140% |
|
3. 針葉樹林と広葉樹林の混交整備 |
1,000ha |
996ha |
168ha |
100% |
|
4. 野生動物共生林整備 |
1,974ha |
1,866ha |
449ha |
95% |
|
5. 住民参画型森林整備 |
100ha |
103ha |
19ha |
103% |
|
6. 都市山防災林整備 |
240ha |
234ha |
56ha |
98% |
※累計はR2年度末までの実績。渓流対策、里山防災林整備、野生動物共生林整備は追加対策をR4年度まで実施。
急斜面の下層植生が衰退した人工林で、土留工の設置やシカに食べられにくい木を植え、表土流出防止を図りました。
整備後の森林でも土砂流出量を「健全な森林の土砂流出量の目安となる1m3/ha」未満である0.41m3/haに抑制できていることを確認しています。
流木・土石流が発生するおそれのある危険渓流で、流木・土石流被害を軽減する災害緩衝林整備や簡易流木止め施設等を設置しました。
簡易流木止め施工地(72箇所)のうち、時間雨量50mm以上の豪雨のあった地域の施設を調査したところ、全ての施工地で土砂の流出は確認されず、宍粟市、朝来市、丹波市の17箇所のうち5箇所で簡易流木止め施設に土砂、流木の堆積が確認されました。
倒木・崩壊の危険性が高い人家裏山で、土砂災害の抑制を図るため、危険木の伐採や簡易防災施設の整備を進めました。
住民の方からは「危険木がなくなり安心して過ごせる」「竹林が整備され立ち入って管理できるようになった」という声がありました。事業実施した集落でのアンケートの結果、里山林に関心のある9割の住民の方が事業を評価していました。
適期に間伐できず気象災害(風倒木・雪害)や土砂災害の恐れの高い人工林について、伐採跡地に広葉樹等を植栽することで多様な森林への誘導を図りました。
植栽した広葉樹は順調に成長し、目標とする森林の姿に近づきつつあります。周辺の針葉樹林では、下層植生の種類の数が4.3倍になるなど針葉樹林内の多様性が高まり、表層崩壊が起こりにくい森林になりつつあります。
野生動物による農作物被害の軽減を図るため、バッファーゾーン(人と野生動物の棲み分けを図る緩衝帯)や野生動物の生息環境改善のため広葉樹の植栽や植生保護柵を設置しました。
住民の方からは「動物の潜み場がなくなった」「集落柵の点検・管理がしやすくなった」という声がありました。
整備後の集落では、集落柵との一体整備により農作物被害発生農地が約7割減少していることを確認しています。
集落裏山の防災林整備(危険木伐採)やバッファーゾーン整備等の地域住民等による自発的な活動に対し、資機材の購入費や危険木伐採等にかかる作業委託経費を支援しました。
住民アンケートでは、7割が「森林整備に関心を持つようになった」、8割が「今後、集落で森林整備が行われた場合協力したい」と回答し、事業をきっかけに、住民ぐるみによる里山林整備の機運が高まっています。
六甲山系において、斜面崩壊により下流の人家等に被害を及ぼす危険性が高い流域の森林を対象に、防災機能を強化するための森林整備や土留工の設置を進めました。
表層の崩壊防止力は、太い根が周囲に張り巡らされると増加することが報告されています。また、間伐後1年が経過したコナラの根の周囲長成長は、間伐しない場所に比べ、大きい傾向が見られました。
このことから、適度に間伐(抜き伐り)を行うことで、根の成長が促され、崩壊防止力の増加が見込まれています。
山地災害危険地区の見直しによる追加や災害リスクの高まりを背景に、第3期対策の取組実績や検証結果を踏まえ、これまでの災害に強い森づくりの枠組みを維持し、県民緑税の課税期間を5年間延長(令和3~7年度)して実施します。
一方、令和元年度に、奥地等条件不利地の間伐等を促進する財源として、国において森林環境譲与税が創設されました。県民緑税の使途は、森林の防災機能を強化する事業として明確に区分したうえで、両税を効果的に活用し、森林の整備・保全を進めます。
区分 |
整備箇所数 |
整備面積 |
事業費 |
|
---|---|---|---|---|
1. 緊急防災林整備 |
斜面対策 |
- |
4,500ha |
1,830百万円 |
渓流対策 |
68箇所 |
136ha |
1,000百万円 |
|
2. 里山防災林整備 |
100箇所 |
1,000ha |
2,590百万円 |
|
3. 針葉樹林と広葉樹林の混交整備 |
44箇所 |
1,000ha |
1,470百万円 |
|
4. 野生動物共生林整備 |
55箇所 |
1,805ha |
1,460百万円 |
|
5. 住民参画型森林整備 |
50箇所 |
100ha |
140百万円 |
|
6. 都市山防災林整備 |
20箇所 |
200ha |
310百万円 |
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