ホーム > つながる兵庫 > 暮らす > U・Iターンした5人 vol.2

更新日:2022年11月24日

ここから本文です。

兵庫県にU・Iターンした5人 vol.2

歴史や文化が異なる5つの国が合わさって一つになった兵庫県。神戸に代表される都市部もあれば、自然豊かな農山漁村もあり、世界に誇るものづくり企業の集積地や日本有数の観光地も。多様性に富んでいるからこそ、型にはまらない理想の仕事や暮らしが見つかるはず。

No.1 やりがいのある仕事と最高の子育て環境 帰郷して正解でした

加西市→高知市⇒加西市

住み慣れたまちで育児と仕事を両立

 

加西市の(株)千石といえば、今や「アラジン」ブランドで有名なメーカー。電源を入れた瞬間に発熱管が温まる特許技術「遠赤グラファイト」を駆使したトースターの売れ行きが好調です。しかし、宮長真紗子さんは入社試験を受けるまで「地元だけど何の会社か知らなかった」と苦笑します。

加西市に生まれ育ち、高知大学へ進学。Uターンを決心したのは卒業を半年後に控えた頃でした。「全国どこへでも赴任しますと答えて内定を頂いたものの、結婚して子どもができたら、知らない土地で働き続けるのは難しいだろうと考え直しました」

入社2年目の25歳で結婚。「両親が近くにいるのは安心」と実家の敷地内に居を構え、7歳の長男、6歳の次男、2歳の長女と子宝にも恵まれました。「千石に入っていなかったら3人も産もうとは思わなかったかもしれま

せん。妊娠中、体調が優れない時期には負担の軽い仕事に換えてくれるなど従業員に対して優しい会社です」としみじみ。

宮長さんが勤務する上野工場は、大手住宅設備機器メーカーの給湯器の金属部品を製造しています。工場物流係の一員として、次々に舞い込む発注メールを確認しては製造現場にピッキングの指示を出します。「たまに在庫がない部品の注文が入り、大急ぎで現場に作ってもらうことも。無事に出荷できた時はヨシッとなりますね」

市内には自然の遊び場が多く、病児保育施設もあるので子育てと仕事の両立がしやすいと語ります。「充実した毎日を過ごせています。やっぱり地元はいいですよ」と晴れやかな表情を浮かべます。

(株)千石勤務

宮長真紗子さんUターン

加西市に生まれ育ち、高知市にある大学へ進む。就職活動では数社から内定をもらうも、将来の子育てと仕事の両立のしやすさを考え、2009年に郷里の(株)千石に入社。給湯器の部品を製造する上野工場では生産管理や検品などの部署を経験。膨大な数に上る部品を全て把握し、“上野のスペシャリスト”になるのが夢。

△毎朝、数十通に及ぶ発注のメールをチェックします。

 

No.2 山々に抱かれた酒造りの本場へ

富山県高岡市→大阪市⇒丹波市

周囲の優しさに触れながら酒造りに没頭

 

小鼓ブランドで知られる(株)西山酒造場は、日本三大杜氏の一つ「丹波杜氏」の発祥の地で170年以上続く老舗の酒蔵です。清酒はもちろん、近年はブランデーやリキュールといった蒸留酒も製造。一昨年11月には、丹波ならではの素材を使用した兵庫県初のクラフトジンを発売しました。開発メンバーの一人に抜てきされたのが、当時入社して3カ月ほどの濱木さんです。「いつかは商品開発がしたいと思っていたので心躍りました」

ジンは、どんな材料をどんな配合で入れるかで風味や香りが違ってくるので、試行錯誤がとても面白いそうです。評判を聞きつけた有馬温泉の関係団体からジン開発の依頼も。濱木さんが中心となり開発した“有馬土産になるジン”には、有馬山椒はもちろん、播磨のユズ、但馬のワサビ、丹波のブルーベリー、淡路の鳴門オレンジを使いました。「兵庫五国の特産を全て盛り込みたかった」と笑顔を見せます。

清酒部門では蔵人の一人として米を洗い、蒸す作業を担当。「清酒造りは昔ながらの職人の技や勘が息づく世界。後世に引き継ぐためにも技や勘を数値化していければ」と、作業の傍らデータの収集に努めています。

本社の2階にある寮が住まい。「入社前、1泊2日のインターンシップに参加した時、職場の皆さんが本当に温かくて。人と触れ合う社会人生活もいいなと思いました」。

最近は、近くの小学校で地域の人たちと一緒にスポンジテニスを楽しんでいるとか。心優しい山里で職住近接の暮らしを満喫しています。

(株)西山酒造場勤務

濱木大輔さんIターン

富山県高岡市生まれ。大学進学で関西へ。大学では遺伝子組み換えの研究をしていたため、食品業界を中心に就職活動。内定を得た(株)西山酒造場は、立地から最初少し迷ったが、職場の温かさに心動かされ入社を決意した。仕事では清酒のほか蒸留酒の製造も担当。蒸留酒部門の中心メンバーとして活躍している。

△蒸留酒部門の作業場で。
ブランデーをかき混ぜてアルコール度合いを均一化します。

 

 

No.3 海を眺めながら通勤できるところが気に入っています

東京都杉並区⇒神戸市

働きやすい環境でオンとオフをうまく切り替え

 

 

神戸市に本社を構える食品メーカーのフジッコ(株)でコア事業本部に所属する中澤沙希さんは、入社3年目。大学卒業後、東京都内の病院で管理栄養士として働きますが、「もっと日常生活から食と健康をサポートできる仕事を」と考えるようになり、大学院でさらに学びを深め、同社に入社しました。「ずっと実家暮らしで一人暮らしに憧れがあり、東京を離れることに躊躇はありませんでした」と振り返ります。

神戸市内にある自宅からポートアイランドのオフィスまでは、バスとポートライナーを乗り継ぎ約50分。「自宅のすぐそばには山がありますし、海を見ながら通勤しています。街の中でも自然を身近に感じられるのがいいですね」

同社はワーク・ライフ・バランスの取れた働き方ができるのも魅力。ノー残業デーの設定や残業時間の規制のほか、昨年にはフレックスタイムも始ま

りました。コロナ禍でテレワークも増え、中澤さんが出社するのは週2日程度。通勤は混雑する時間帯を避け、会社でしかできない打合せや事務処理などをまとめて行い、残業はほぼゼロです。「ある程度自由な働き方ができるので、子育てと両立させながら活躍する女性もたくさんいます」

休日の楽しみは、市内のカフェやベーカリー巡り。手頃でおいしい店がたくさんあり、街を歩いても東京と比べると人の多さが気にならず快適に感じているそうです。

都会と自然のバランスが取れた居心地の良い土地で、オンとオフをうまく切り替えながら充実した日々を送っています。

フジッコ(株)勤務

中澤沙希さんIターン

東京都杉並区生まれ、神戸市在住。大学時代は家政学部食物学科で栄養学を学び、東京都内の病院に就職。管理栄養士として3年間働いた後、母校の大学院で2年間さらに知識を深め2018年、フジッコ(株)へ入社。コア事業本部マーケティング推進室調査グループに所属し、商品の開発・育成に携わっている。

△同社では会議時間の短縮や効率的な進め方を見直す「スマート会議のススメ」を推進。
打ち合わせも短時間で効率よく進めています。

 

No.4 切削加工の魅力に引かれ難削材を扱う企業へ 趣味の釣りも満喫しています

滋賀県長浜市→石川県野々市市⇒淡路市

島暮らしを楽しみながら日々の業務にまい進

 

航空機や医療機器などの精密機械の部品加工を主力とするミツ精機(株)。チタンなどの難削材が使われ、かつ複雑な形状が求められる航空機部品が受注製品の約9割を占める同社の加工技術は、国内トップクラスを誇ります。「航空機、医療機器部品などに使われる難削材を扱う企業というのが、就職先を選ぶ上での必須条件でした」と話す田邉空さんは、入社1年目の新入社員です。

あらゆるものづくりの基礎となる切削加工分野の魅力に引かれ、学生時代には難削材の最適な加工条件を研究。お世話になった教授の勧めもあり、同社への就職を決めたといいます。

現在は生産技術課に所属し、部品を固定する治具の設計や製作工程の図面化を担当。「図面を見て、現場の方から『この加工法では難しい』と意見があることも。

今はデスクワークが中心で現場に出る機会は少ないですが、実際に機械を触って感覚的に理解していないと失敗することもあるため、社外研修なども利用して学んでいきたいと思っています」

普段は職場から歩いて約5分の社員寮で生活。幼少期から釣りが趣味という田邉さんは、職場近くの港がイカ釣りのスポットと知って、一時期は出社前にも釣りを楽しんだそうです。また、最近購入した車は、品ぞろえ豊富な神戸市内の店舗で。「神戸へはかなりアクセスしやすく、買い物にはそちらへ出掛けることもあります」。休日には車で島内を回っておしゃれなカフェや雑貨店を見つけるなど、島での暮らしをさらに充実させています。

ミツ精機(株)勤務

田邉空さんIターン

生まれ育った滋賀県長浜市の高校で、機械産業について学ぶメカトロニクスコースを選択。石川県の大学に進学し、金属加工を専門に研究。2020年に機械部品加工を手掛けるミツ精機(株)に入社後、生産技術課に配属。

△パソコンを使って製作工程の図面を作成。

「課のリーダーに見ていただきながら、少しずつ会社のやり方を覚えています」

 

No.5 移住先に選んだ理由は「兵庫県が好きだから」選択に後悔はありません

さいたま市→神戸市→横浜市⇒神戸市

都市部に近い自然と恵まれた子育て環境に満足

 

「せっかく好きで移住するのだから、兵庫県らしい仕事をしたいと思って」と県庁職員になった理由を話すのは、入庁5年目の岩永修平さん。関東で生まれ育った岩永さんが20代後半から移住を考えるようになったきっかけは、前職で神戸に赴任したことでした。

「ぎゅうぎゅうの満員電車はないですし、埼玉県人憧れの海が近くにある生活。休日にはすぐ裏の六甲山に登って反対側にある有馬温泉で疲れを癒やすといったことができて。いい所だなと思いながら暮らしていました」と振り返ります。4年後、転勤で関東に戻ると関西でのゆとりある暮らしが恋しくなり、移住先探しを開始。他県も含めて検討した結果、「やっぱり兵庫県が好きだから」と30歳の時に退職して妻子と共に兵庫県に移ってきました。

県庁で最初に配属された芸術文化課では、県内各地のアートフェスティバルをつないで魅力を発信する事業などを担当。総合農政課に異動した現在は予算管理や課内の庶務を任され、働きやすい職場環境を整えるのが主な役割です。「部署によって仕事内容が全然違う分、いろいろな面から兵庫の良さを発見できるのが面白いです」

2児の父親でもある岩永さん。駐車場付きの大きな公園や無料で遊べる屋内施設が充実しているなど子育て環境の良さも気に入っている点だといいます。「将来、胸を張ってふるさと自慢ができるような子に育ってほしい」、と県産食材を選ぶようにしたり、農作業や釣りなど地元ならではの体験をさせたり。週末は自然豊かな場所へ一家で出掛け、郷土愛を育んでいます。

兵庫県職員

岩永修平さんIターン

都内の大学を卒業後、食品メーカーに就職。最初の配属先が神戸市内の事業所で、初めて関東以外での暮らしを経験する。2016年に8年間務めた会社を辞めて兵庫県庁に転職し、現在は県の農林水産振興施策の企画・調整・推進等を行う総合農政課の主任。兵庫県出身の妻、2人の子どもと明石市内で暮らしている。

△各デスクに設置している県産杉を使ったパーテーションも

岩永さんが手配。テレワーク導入、脱はんこ化など2020年度はさまざまな対応に追われたといいます。

 

 

兵庫県で働きたいと思ったら

 

アクセスランキング