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平成23年3月に発生した東日本大震災により、下水道施設は処理場、ポンプ場の機能停止や施設損傷、マンホール浮上等の被害を受けました。今後、南海トラフ巨大地震など大規模地震の発生が懸念される中、日常生活に欠くことのできない下水道施設は十分な耐震性能を有する必要があります。
兵庫県が管理する下水道施設に求められる耐震性能は国が定めた下水道施設の耐震対策指針に基づき以下のとおりとしています。
管路施設 |
震度5弱の地震(施設の供用期間内に1,2度発生する確率を有する)に対し、損傷が生じず管渠がもつ本来の流下能力を確保 震度7相当の地震(阪神・淡路大震災クラス)に対し、ひび割れ、勾配変化程度の損傷に抑え、上流から下流へ流せる状態を確保 |
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処理場・ポンプ場 |
震度5弱の地震に対し、損傷が生じず本来の機能を確保 震度7相当の地震に対し、崩壊から人命の保護が図れ、大きな補修をすることなく建築物を使用できる状態を確保 |
処理場・ポンプ場 |
震度5弱の地震に対し、損傷が生じず本来の機能を確保 震度7相当の地震に対し、復旧に時間を要しない程度の損傷に抑え、比較的早期の機能回復を可能とする状態を確保 |
耐震化を進めるにあたっては、被災直後においても生活空間から汚水の速やかな排除が必要でその機能確保が最優先であるため、管路施設の耐震対策を中心に推進し、管渠については全体約205.8kmのすべて、マンホールについては全体924基の内839基が耐震性能を有しています。
一方、処理場・ポンプ場については、管理棟、電気棟等の建築施設はほぼ耐震性能を有していますが、一部の土木施設は地下部分にあり抜本的な耐震対策が出来ないため、施設全体の改築・更新時に合わせて耐震化を図ることとしています。
耐震化を進めて行くにあたっては、多くの期間と費用を要することから、緊急性や重要性を考慮し以下の整備目標を定め、対策に取り組んでいます。
管渠 |
上流から下流へ流せる状態を確保する |
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中継ポンプ場 |
送水機能を確保する |
水処理施設 |
必要処理水量を沈殿・消毒処理できる施設を確保する |
汚泥処理施設 |
必要処理汚泥量を脱水処理までできる施設を確保する |
津波対策については、平成24年8月末に国の中央防災会議から津波推計結果が報告されました。武庫川下流浄化センターなど、津波の影響が想定される沿岸部の処理施設では、県独自の津波シミュレーション結果をふまえ、予測浸水深に対応した防潮壁や防波盛土などの津波対策を実施しています。
また、これら対策に加え、東日本大震災の教訓から、巨大地震や津波の発生など、想定外の災害にも対応できるよう、汚水処理を継続するための仮設沈殿池のスペースを確保し、安全・安心な下水道システムの構築に努めていきます。
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