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更新日:2013年12月12日
1 条例制定の背景・趣旨及び目的
(1) 阪神・淡路大震災の被害状況は、全壊、半壊家屋約24万棟という甚大な被害で、倒壊家屋の下敷き等が原因と考えられる窒息・圧死等により、約4,000人の方が死亡されました。
とりわけ木造建築物の倒壊による圧死事故等が多く、原因として
・筋交いの不足や取り付けの不備
・壁の配置の偏り
・基礎部等重要部分の接合不十分
・構造上の欠陥
があり、対策としては、施工不良や手抜き工事の防止、建築士による設計や工事監理に加えて、居住者や近隣住民の万一時の避難経路の確保に配慮した建物配置等があげられます。
しかし、建築士法では、延べ面積100平方メートル以下の木造建築物の設計、工事監理については建築士の資格が必要ないため、本来最も危険と思われる市街地の密集地域等における狭小な敷地に建設される小規模な住宅について建築士が関与せず、安全性の確保が課題となっています。
(2) 阪神・淡路大震災をきっかけとして欠陥住宅が社会問題化したことから、国は平成16年6月に建築基準法の改正を行い、中間検査の導入等の措置を講じ、新しいシステムを再構築するための取り組みを進めています。
また、建築物の安全性の確保のために、建築士法で規定されている建築士による設計、工事監理を徹底するため、平成11年4月から完了検査申請の際に、工事監理者に工事監理状況報告を義務づけました。
県内でも、全国的な取り組みの一環として平成11年10月に兵庫県、特定行政庁及び関係団体で構成される兵庫県建築物安全安心推進協議会(以下「協議会」という。)を設立しました。
協議会では、建築規制を実効性あるものとし、建築物の安全性等を確保するシステムを再構築するべく「工事監理業務の適正化とその徹底」、「中間検査や完了検査の的確な実施」、「建築確認制度の普及啓発」等を柱とする平成13年度末までの「兵庫県建築物安全安心実施計画」(以下「実施計画」という。)を策定し、一定の成果を上げてきました。
その後、さらなる実効性の確保やシステムの定着のため、「実施計画」を改訂して取り組みを進めています。「実施計画」において、これらの取り組みを実効性のあるものとするための手段のひとつとして、建築士の資格を持った者が設計又は工事監理を行うことが重要であるため、建築士が関与しなければならない木造建築物の延べ面積を引き下げる条例の制定を提言しました。
(3) 建築物を建設するときは、建築主は本来、設計図書及び完成した建築物が建築関連法令や自分の発注した仕様と合致しているかを自分の責任で確認する必要がありますが、一般的に建築主は建築に関する知識を十分には持っていません。そのため、建築士による設計、工事監理を必要とされない小規模な戸建て住宅等では、建築関連法令の基準を満たさない設計図書や建築物をみても、それが違反建築物や手抜き建築物であるかを判断することが難しいと思われます。
また、通常行われる建築確認、中間検査及び完了検査では建設途中の工程はわからないことが多いのですが、条例を制定することにより、建築士が建築主の立場でこれらの法定検査で見えない部分も法令に適合していることはもちろん、建築主の要求した仕様のとおり工程が進んでいるかチェックが行われることから、建売住宅の購入者や建築主にとってより安全で安心な建築物が取得できることとなります。
(4) 兵庫県は、災害に強いまちづくりをはじめ、だれもが安心して暮らせる地域社会の構築に県民と共に全力をあげていますが、そのなかでも、建築物は人間が生活していく上で基盤となるものであり、その安全性を高めることは最も重要です。
阪神・淡路大震災を経験した兵庫県として、この経験を生かし、さらなる県民の安全性を確保するため、建築士が設計、工事監理に関与しなければならない木造建築物の延べ面積を引き下げ、安全で安心な兵庫県づくりに、県民と共に努力していくため、人口密度の高い地域のほぼ全てを包括する都市計画区域内の木造建築物や地域の安全性の向上を図ることとしました。
2 施行
平成15年10月1日から施行しています。
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