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市街地と山が隣り合う神戸では、治山治水の取組が長きに亘って続けられてきました。現在、兵庫区から長田区を流れる湊川もそのひとつです。
明治29年の水害では、湊川の堤防が百メートルに亘って決壊し、3千戸が浸水するなど大きな被害が生じ、湊川の付け替えと隧道工事が動き出しました。そして明治34年、当時の土木技術の粋を集めたわが国初の近代河川トンネルとして湊川隧道が竣工しました。
以来、平成12年に新湊川トンネルにその役割を譲るまで約百年間、湊川隧道はまちを水害から守るため、その役割を果たしてきました。平成13年には地域の皆さまが主体となって湊川隧道保存友の会が発足し、翌年から隧道の一般公開がスタートしました。
今年は公開開始から20周年、湊川隧道完成から120周年の節目です。これを記念し、11月21日には、「トンネルサミットinひょうご」を開催。全国各地で役割を終えたトンネルを地域資源として活用する方々により、課題や今後を巡る活発な討論を行いました。
「遺産に新たな命を吹き込み、再活用することで遺産を資産に!」-サミットで示されたこの言葉は湊川隧道はじめ、すべての歴史遺産に通じます。
友の会の皆さまが利他の心で地道に隧道の公開、すなわち遺産を活用した地域資産化に努められたからこそ、隧道は広く知られるようになり、平成30年には国の登録有形文化財ともなりました。
隧道の底力はこれに止まりません。サミットで全国各地のパネリストから一様に声があがったのは、湊川隧道がもつ今後の可能性の大きさでした。
11月23日には、初めて長田から兵庫へ抜ける形で行った湊川隧道の通り抜けは、2千人の予定枠が募集開始後2日でいっぱいになるほどの人気ぶりでした。
好天に恵まれた当日、たくさんの方々が、ほのかな灯りが醸すトンネルウォークの独特の雰囲気を楽しまれました。
通り抜けに呼応し、湊川の商店街では、参加者に割引セールやスタンプラリーを実施。併せて灘五郷の蔵元から振る舞い酒のプレゼントも。秋の好日、身近な地域の宝とそれを取り巻くまちの魅力を体感していただくことができました。
神戸は歴史遺産の宝庫です。今月3日に明治期の初代県庁舎を復元した「初代県庁館」がオープンした兵庫津はもちろん、東には、万葉集で大伴家持らが歌い、平安の大和物語に記され、室町期に観阿弥が能で舞い、さらに森鷗外が戯曲「生田川」とした悲恋の菟原娘子(うなひおとめ)伝説とゆかりの古墳、西には、県内最大の前方後円墳である五色塚、北には、江戸時代に着想され、明治大正期に整備されて摂津と播磨を繋いだ淡山疎水など、枚挙に暇がありません。
これらが地域の今後を照らす灯りであり続けるよう、神戸県民センターも地域の皆さまと共に過去と未来をつなぐ取組に関わっていきます。
なお、新型コロナ感染症については、入院病床の拡大など第6波に備えつつ、社会・経済活動と感染防止の両立に向け、11月26日から新型コロナ対策適正店として認証を受けた店舗では人数制限(同一テーブル4人以内)をなくすなど、行動制限の依頼を一部緩和することとなりました。基本的な感染対策の励行など引き続きのご協力をお願いいたします。
令和3年11月25日
兵庫県神戸県民センター長
西躰 和美
→県民・事業者のみなさまへの呼びかけ「感染再拡大警戒!感染対策の徹底を!」
→新型コロナウイルス感染症に関する相談窓口(コールセンター等)
<11月23日 湊川隧道通り抜けイベント>
(左から)<通り抜けの様子><隧道出口付近><高校生スタッフが活躍><賑わうマルシン市場>
≪以下に「過去の神戸県民センター長メッセージ」のリンク先を掲載しています。≫
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