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更新日:2024年8月22日

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令和6年8月センター長だより(神戸県民センター長 内藤 良介)

皆さんこんにちは、神戸県民センター長の内藤 良介(ないとう りょうすけ)です。
前回のセンター長だよりで、JR神戸駅から新開地・喜楽館までをご紹介しましたが、今回はその続き、新開地から湊川公園を抜け~東山商店街等~湊川隧道までのぶら歩きをご紹介します。

新開地・喜楽館を核とした周辺の回遊性を考える 【後編】

新開地から湊川隧道までのマップ

新開地1丁目~湊川公園 〔通り抜けなら5分。でも、寛げます〕

新開地1丁目商店街を北へ抜けると、すぐに目にするのが兵庫区役所を背にした大楠公像。1336年、湊川の戦いにおいて、足利尊氏に敗れ自害した楠木正成の像です。前回にも少し触れましたが、ここは旧湊川を埋め立てた湊川公園が広がります。旧湊川は、洪水の度に六甲山から流入する土砂により、川底が上昇し、更に堤防を高くして・・・という天井川でしたので、埋め立てた公園は、周囲の土地よりも6~7mも高台となっています。公園下には大きくくり抜かれた通称「湊川トンネル」があり、東西に走る山手幹線をつないでいます。

新開地一丁目商店街 大楠公像 湊川公園

意外に広い公園内には他にも、カリヨン時計塔(大正13年~昭和43年には此処に東洋一の高さ(90m)を誇る「神戸タワー」がありました)、聖徳太子像(阪神・淡路大震災によって現在は馬像しか残っていません。)などがあります。

毎月第4土曜日に開催される「手しごと市」や新開地商店街と一体となったお祭りなど、イベントの際にはもちろんたくさんの方で賑わうのですが、普段から区役所南側にあるふわふわドームはこどもたちに大人気で、すぐ傍では昔から囲碁や将棋を楽しむたくさんの方々がいらっしゃいます。神鉄、地下鉄駅から駅近(真上)公園で穴場です。

カリヨン時計塔                        ふわふわドーム

湊川公園~東山商店街・マルシン市場へ 〔まっすぐ歩くと10分〕

湊川公園の東から北側にかけては、湊川商店街、パークタウン、ハートフルみなとがわ、東山商店街、マルシンいちばといった商店街・市場が連なります。この辺りは、「神戸の台所」。私も休日になると精肉店、鮮魚店、青果店目当てに出かけるのですが、毎回必ず、立ち食いの串かつ、サキイカ、天ぷらなどを昼食代わりに現地調達してしまいます。

東山商店街     マルシンいちば

市内の商店街や小売市場の数は随分減少しました。特に小売市場は、昭和のピーク時には110を超える賑わいでしたが、今残っているのは20弱です。しかし近年、海外の方々を含め消費者は「体験」を重視する傾向が強まっています。海外の売り手と買い手の互いの顔が見える市場等での対面のやり取りは大きな強みです。今、「いちばPROUD」を志として掲げて活性化に取り組んでいる市内小売市場の皆さんに大いに期待したいと思います。

神戸小売市場宣言(いちばPROUD)

マルシン市場~湊川隧道へ 〔徒歩5分〕

湊川隧道マルシン市場の西端を抜けるとすぐに熊野橋があります。ここから西へ5分ほど歩くと、湊川隧道の吞口にたどり着きます。地元では会下山をくり抜いて作ったトンネル「会下山トンネル」として親しまれています。

隧道については、これまでの先輩センター長が何度か本コーナーでご紹介されています。何より湊川隧道や新湊川河川改修の歴史、石材や煉瓦積みなどの構造、改修にあたってご尽力されてきた方々についてはホームページに非常に丁寧にわかりやすく掲載されていますので、この場では割愛させていただきます。

強調しておきたいのは、この湊川隧道の建設が、明治30年代当時としては、民間人による全国でも例をみない大規模公共事業であったこと、山をくり抜いた河川トンネル工事は日本初で世界最大級だった、ということです。

そして、工事によって川の流れが変わり、埋め立てられた旧湊川が地続きの道や商店街となったことで、それまで分断されていた日本人の住む西の兵庫と、外国人居留地だった東の神戸が融合されました。洒落た街・神戸は、明治の湊川隧道事業によって生まれたといっても過言ではないと思います。

湊川隧道が、後世まで愛されるように

120年余り前の建造物が現存し、しかもつい20数年前までは使用されていました。凄いことだと思いませんか。

そんな地域の文化を継承する近代土木遺産の内部を私たちは今でも見ることができます。一番身近に親しめる方法は、月2回(第1、第3土曜日)の隧道内部の一般公開です。毎回、他府県からも沢山の方が訪れます。特に第3土曜日には、20分間の説明会(これがわかりやすい!)のあと、40分ほどミニコンサートが行われます。私は6月にイングリッシュハンドベル、そして今月には二胡演奏を聴かせていただきました。隧道坑内の神秘的な雰囲気と反響で、黒部ダムで歌った中島みゆきさんを想い出していたら、二胡でも「地上の星」を演奏されていました。

この取組みを主催されているのは、地域と県土木技術職員ОB、有志から成る「湊川隧道保存友の会」です。貴重な近代土木遺産の保存・活用のために結成されてもうすぐ四半世紀を迎えます。息の長い活動には心から感服、敬意を表したいと思います。そして、友の会と連携して、まち歩きツアーや子ども向けのイベントなどの活動を行っている「湊川隧道部」も、湊川隧道が地域の宝として引き継がれていけるようご尽力いただいています。

湊川隧道定期一般公開の説明会 湊川隧道定期一般公開のコンサート1 湊川隧道定期一般公開のコンサート2

11月には、友の会、隧道部の皆さんと県が協力して、年一回の隧道通り抜けイベントを実施します。今年は湊川側から長田側へ通り抜けるルートで、隧道の端から端まで見ることが出来る唯一の機会となっています。どちらの側にも商店街やいちばがあるので、併せて楽しんでください。

兵庫県/湊川隧道について 

湊川隧道保存友の会ホームページ(外部サイトへリンク)

湊川隧道部ホームページ(外部サイトへリンク)

前回の県民センター長だよりと合わせて、JR神戸駅から新開地、湊川、湊川隧道に至るまでのぶら歩きはいかがでしたか。神戸は他県の大都市と比べても徒歩で移動する機会が多い街だと思います。市内で訪れたいエリアを見定めて「ここ!」と決めれば、案外、その周辺の魅力の地も含めてぶらぶら歩いていろんなところへ行けますよね。

 

兵庫県神戸県民センター長

内藤 良介

 

≪以下に「過去の神戸県民センター長だより」のリンク先を掲載しています。≫

 過去のセンター長だより

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