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皆さんこんにちは。11月に入って朝晩少しずつ冷え込むようになりました。毎朝5時半頃に犬と散歩に出掛けるのですが、寒くなるとお互い散歩どころか布団から出るのも日々億劫になってきています。我が家の犬は昼間も遠赤外線の暖房器具の前を独り占めして離れず、終日ゴロゴロしているようです。
それでも昼間過ごしやすいこの時期は、各地で催し物がたくさん開催されていて、皆さんも週末にお出かけの機会が増えているのではないでしょうか。市内兵庫区の湊川・新開地もまち開きから120年を迎えて、特に11月はイベントが目白押しでした。
以前にもセンター長だよりでお話ししましたが、湊川・新開地は1905年に旧湊川河川敷を埋め立てて開かれた土地で、商店街・歓楽街として発展してきました。今年はまち開きから120年であるとともに、阪神淡路大震災から30年の節目の年でもあります。新開地も震災によって大きな被害を受けましたが、地域の皆さんの手によってまちは復旧・復興を遂げてきました。さらに笑いでまちを元気にしたいと誕生した落語寄席・喜楽館も開館から7周年を迎えました。

[令和7年7月11日 落語まつり成功祈願式典]
その節目に、街全体をもっともっと笑いに包もうと、11月1日(土曜日)、11月2日(日曜日)の2日間、新開地一帯で第1回の落語まつりが開催されました。開催の中心となったのは、地域の活性化に尽力されている新開地まちづくりNPOです。喜楽館をはじめ、7つの会場で高座が開催されるとともに、商店街の飲食店では噺家さんたちが1日店主やスナックのママ、ホストになりきって料理を提供したり、お客さんを笑わせる楽しい企画もありました。100人の噺家さん達は各会場やお店を掛持ちして大忙しだったようですが、6千人のファンが噺家さんをより身近に感じ、みんなが街中を巡る楽しい2日間となりました。
この2日間、神戸県民センターでも兵庫区役所庁舎内のみなとがわホールを会場として落語や新開地ファンの裾野を広げたいとの思いで、面白い切り口の寄席を開催しました。
会場内のお客さんは小学生の子どもだけ、大人は入場禁止!。桂福丸さんの企画で、当日は“ラクゴニンジャ”も登場してくれました。
生の落語が始まると子どもたちは凄い集中力で噺に耳を傾け、想像力を膨らませます。みるみる落語の世界に引き込まれていくのが印象的でした。
きっと次回は家族を連れて落語を聴きに来てくれることでしょう。

「新開地には行ったことがないわ」「ちょっと怖そうかも」なんていう方に、案外来てみたら安くて美味しい食べ物がある、落語や演劇で楽しめると知っていただきたいとの思いから、桂あやめさんが企画。“イケメン”落語家が登場したり、少しマニアックな新開地今昔の話が聞けたりと、新開地の楽しみ方がよく分かる企画でした。

2日目のグランドフィナーレを飾る夜の落語会は、私もお客さんとして個人的に楽しい時間を過ごさせていただきました。最後は噺家さんたちが高座に集合され、喜楽館の館長でもある高 新開地まちづくりNPO理事長から「落語まつりが2回、3回と続いていければ!」との嬉しいご挨拶がありました。ぜひ、これからも引き続きの開催を!

湊川・新開地の誕生は川の付け替えなくして語れず、その川の付け替えにおける最も困難な大工事が湊川隧道の構築でした。
湊川隧道は25年前に、100年にわたる役目を終えました。今でも月2回の定期一般公開の際に内部を見ることができますが、全てを通り抜けできるのは年に一度きりです。今年は11月8日(土曜日)に開催しました。コースは隧道の全長670mを含む約1.7kmで、隔年で東から西向き、西から東向きに歩きます。今回は西の長田区側・下流から東の兵庫区側・隧道入り口へ向かいました。定期一般公開が必ず東側から入るので、西から東へ向かうコースは2年に一度しか経験できない貴重な機会です。この日はお天気にも恵まれ、本当に気持ち良く歩きました。そしてゴールした参加者の皆さんには、近隣のマルシン市場と東山商店街を楽しんでいただきました。この日は両市場・商店街との連携企画により、通り抜けをされた方には各店舗でお得な割引サービスがあり、また、マルシン市場では10月29日に蔵出しされたばかりの隧道貯蔵酒「隧ZUI」が初お目見え。販売コーナーを設けたところ、大盛況となりました。

[令和7年10月29日 隧ZUI蔵出し]
11月24日には、湊川・新開地誕生120周年を記念した講演会、講談会が開催されました。
講演は県立歴史博物館の吉原学芸員にお願いして湊川・新開地が誕生した当時の歴史を振り返りました。専門に研究されていたそうで、当時の経緯やまちの様子をわかりやすく教えていただきました。講演に先立ち、旭堂南海さんによる、武岡豊太をテーマとした講談も披露されました。武岡豊太は明治期から昭和初期の実業家です。湊川改修株式会社の支配人として川の付け替えや旧湊川河川敷の埋立整備を取り仕切り、後に「西の帝劇」と呼ばれた聚楽館の経営にもあたりました。湊川隧道を含む川の付け替え、新開地の繁栄は武岡豊太を抜きにして語ることはできません。
ちなみに武岡豊太が現在の南あわじ市出身ということで、昨年11月に南あわじ市で顕彰フォーラムが開催されました。その縁もあり、この日の講演会には南あわじ市長と淡路県民局長も駆けつけてくださいました。(南あわじ市長におかれては11月8日の湊川通り抜けにもご参加いただきました。)
かねてより、地域の振興を考えるうえで、県民局の垣根を超えた取組みもやっていこう、と淡路県民局長と話をしていたところです。湊川・新開地が取り持つ縁をきっかけとして、今後も淡路島地域と神戸地域の親交・連携が深まればいいな、と改めて感じる日にもなりました。

ちなみに、この日に向けて「地域の想い 未来へつなぐ」と題した動画も作成し、講演会の場でお披露目されました。新開地に対する地元の皆さんの想いが詰まった中身となっていますので、ご覧いただければと思います。
【 湊川新開地120周年記念動画】
このほか11月14日、11月15日にはお得にグルメを味わいながら街歩きを楽しむ「第1回 新開地バル」なども開催され、振り返れば11月は毎週末、大きなイベントが催され、たくさんの来街者が訪れる、宛ら“新開地月間”のような一か月でした。
喜楽館は定席でいつでも落語を聞けますし、商店街には巡ると楽しいお店もたくさんあります。アクセスも、阪急・阪神・山陽から乗ると新開地駅、神鉄・地下鉄なら湊川(公園)駅、JRなら神戸駅と便が良く、まちなかは回遊性抜群です。「ええとこ」ですので、皆さん気軽にお越しくださいね。
兵庫県神戸県民センター長
内藤 良介
≪以下に「過去の神戸県民センター長だより」のリンク先を掲載しています。≫
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