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対話と工夫の積み重ねで誰もが暮らしやすい社会に

2021(令和3)年に障害者差別解消法が改正され、今年4月から全事業者に対して障害のある人への「合理的配慮」の提供が義務化されます。内閣府障害者政策委員会の委員を務める玉木幸則さんに詳細を伺いました。(取材・文 本紙編集部)

 

玉木幸則さん

玉木幸則(たまき・ゆきのり)さん
1968(昭和43)年姫路市生まれ。出産時の事故により脳性まひに。日本福祉大学卒業。(一社)兵庫県相談支援ネットワーク代表理事、内閣府障害者政策委員会委員、兵庫県合理的配慮アドバイザー、龍谷大学客員教授等を務める。NHK Eテレ「バリバラ」にご意見番として出演中。西宮市在住。

 

Q.法改正の概要は。
障害者差別解消法は、障害者差別をなくすことで障害のある人※もない人も共に生きる社会をつくるための法律です。「不当な差別的取扱い」の禁止と「合理的配慮」の提供について定めており、前者は行政、民間事業者とも義務付けられていますが、後者は行政は義務、事業者は努力義務にとどまる内容でした。そこで内閣府の障害者政策委員会で協議を重ね、4月からは事業者にも義務化されることになりました。ただし義務といっても罰則は課されません。

Q.合理的配慮の提供とは。
障害者から障壁を除くために何か要望があったときに、双方で建設的な話をし、負担が重すぎない範囲で対応することです。例えば、点字メニューのない飲食店に視力障害のある人が来店し「メニューが分からない」と言われた場合、メニューを読み上げるなどが挙げられます。障害者と事業者との間で対話を通し何か方法がないか検討していくことが重要です。法律には「障害者から要請があった時」とありますが、必要に応じて事業者からも助けが必要でないか声をかけてほしいと思っています。

Q.合理的配慮の提供が広がることの効果は。
障害者の中には、行きたい場所ややりたいことがあっても最初から諦める人がたくさんいます。でも、その都度相談し、話し合いをすれば、実現できるかもしれません。おのずと誰もが暮らしやすい社会になっていくのではないでしょうか。

Q読者に伝えたいことは。
障害の有無に関係なく相手の立場に立って考えて行動するのは、ごく当たり前のことです。街にはジェンダーに配慮したおむつ交換台のある男性トイレや、外国人のための多言語の案内板などがあります。障害者への配慮もそれと同じです。今回の改正で一人一人が“誰もが暮らしやすい社会”について考える機会になればうれしいです。

※身体障害や知的障害、精神障害など障害者手帳を所持している人だけではなく、その他心や体の機能に障害があり、社会の中にあるバリアーによって日常生活や社会生活にさまざまな制限を受けている人全てを指す

 

 

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