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生体復元画(c)Kanon Tanaka_田中花音
2007(平成19)年に丹波篠山市の篠山層群で発見された化石が新属新種の植物食恐竜と判明し、「ササヤマグノームス・サエグサイ」と名付けられました。発見者で地元の地学愛好家の足立洌さんに、市内の地層の特徴や発掘の魅力について聞きました。(取材・文 本紙編集部)
足立洌(あだち・きよし)さん
1943(昭和18)年生まれ。83年に当時の篠山町(現丹波篠山市)内の高校に転勤し、篠山層群に興味を持ち化石を調べるように。2004(平成16)年に定年退職後は、調査に注力。06年には、友人と共に「タンバティタニス・アミキティアエ(丹波竜)」の化石を発見した。
Q.篠山層群の特徴は。
約1億1,000万年前の貴重な地層で、同時代の陸の地層が残っている場所は全国でもほとんどないといわれています。比較的軟らかい地質のため、発掘しやすいという特徴もあります。
Q.今回の発見について。
見つけたのは上顎と歯です。米国の原始的な角竜類と近縁であることが分かり、当時は大陸がつながっていたことを裏付ける発見といえます。また、発掘したエリアからは、腐食しやすく化石になりにくい小型の脊椎動物の化石も出てきました。状態の良い化石が残っているのは、当時その辺りが極めて穏やかな流れの湖沼であったためではないかと思っています。
足立さんが発見した角竜類の化石。
Q.発掘の魅力とは。
地層に隠れていた化石を見つけた時の喜びは格別です。化石は、恐竜が生きた時代の環境や大陸の状態など、過去の地球の様子を知る手掛かりになります。当時の恐竜の姿や生態を想像することで、生きた証しや生命の神秘も感じられます。
Q.今後の目標は。
篠山層群は貴重な自然遺産なので、そこから学んでもらえるよう、次世代に自分の体験や知見を伝えていきたいです。恐竜を身近に感じて化石に興味を持ち、次なる発見者が現れることを切望しています。
ハンマーやのみを使って慎重に削りながら発掘します。
企画展「ヒプノヴェナトル~眠る狩人の発見~」
篠山層群で発掘された別の化石が今年7月、新属新種の肉食恐竜に認定され、「ヒプノヴェナトル・マツバラエトオオエオルム」と命名。県立人と自然の博物館では、産出化石一式とパネルを展示しています。
【日時・期間】2025(令和7)年1月13日(月曜日・祝日)まで
【場所】県立人と自然の博物館(三田市弥生が丘6)
【問い合わせ】同館
【電話】079-559-2001
【ファクス】079-559-2007
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