豊岡健康福祉事務所感染症発生動向調査週報
このページは感染症発生動向調査事業に基づき、豊岡健康福祉事務所管内(豊岡市・香美町・新温泉町)を中心とした地域の感染症の発生状況を毎週情報提供し、感染予防についての注意喚起を行っています。
2025年第15週(4月7日~4月13日)の管内の感染症発生動向情報をお送りします
今週のcontents
- 定点把握感染症について〈定点あたり報告数の多い感染症〉
- 令和7年4月7日から急性呼吸器感染症(ARI)が追加になりました
- 百日咳について
- マダニが媒介する感染症について
1.定点把握感染症について〈定点あたり報告数の多い感染症〉
感染症
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定点あたり報告数
|
増減
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15週
|
14週
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急性呼吸器感染症 |
12.88 |
- |
- |
感染性胃腸炎 |
6.2
|
4.0
|
↑増加
|
COVID-19 |
2.5 |
3.25
|
↓減少 |
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 |
1.8
|
1.2
|
↑増加 |
RSウイルス感染症 |
1.6 |
3.0 |
↓減少 |
2.令和7年4月7日から急性呼吸器感染症(ARI)が追加になりました
- 急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection:ARI)とは、急性の上気道炎(鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎、咽頭炎、喉頭炎)又は下気道炎(気管支炎、細気管支炎、肺炎)を指す病原体による症候群の総称です。インフルエンザ、新型コロナウイルス、RSウイルス、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、ヘルパンギーナなどが含まれます。
- 急性呼吸器感染症(ARI)は、飛沫感染等により周囲の方にうつしやすいことが特徴です。
- 新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、急性呼吸器感染症の流行の動向を把握すること、未知の呼吸器感染症が発生し増加し始めた場合に迅速に探知することが可能となるように、感染症法の5類感染症に位置付けられ、令和7年4月7日からサーベイランスの対象となりました。
- 「咳嗽(がいそう)、咽頭痛、呼吸困難、鼻汁(びじゅう)、鼻閉(びへい)のいずれか1つの症状を呈し、発症から10日以内の急性的な症状があり、かつ医師が感染症を疑う外来症例」が急性呼吸器感染症(ARI)定点医療機関からの報告対象となります。
【関連ページ】
厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ari_qa.htm
3.百日咳について
- 今週、豊岡健康福祉事務所管内で2人、県内では86人の報告があり、累積患者数は404人となりました。全国的にも感染者数が増加しています。
- 百日咳は百日咳菌による急性気道感染症で感染経路は飛沫感染及び接触感染です。
- 通常5~10日間程度の潜伏期を経て、かぜ症状で始まり、だんだんと咳の回数が増えて程度も激しくなります。(カタル期:約2週間持続)
- 次第に特徴ある発作性けいれん性の咳(痙咳)になり、短い咳が連続的に起こり、続いて息を吸う時に笛の音のようなヒューという音が出る咳症状を繰り返します。しばしば嘔吐を伴うことがあり、発熱はあっても微熱程度です。(痙咳期:約2~3週間持続)
- 激しい咳発作は少なくなり2~3週間でなくなります。その後も時折忘れた頃に発作性の咳が出ますが、全経過約2~3カ月で回復します。(回復期:2、3週~)
- 百日咳はいずれの年齢でもかかりますが、小児が中心となっています。母親からの免疫が十分でなく、乳児期早期から罹患する可能性があり、特に新生児や乳児期早期では肺炎や脳症を合併し重症化する恐れあります。まれに死に至ることもあります。
- 成人では、咳は長期間続きますが、比較的軽い症状で経過することが多いため、受診や診断が遅れることがあります。
- 有効な予防法は予防接種(4種混合ワクチン)ですが、予防接種の免疫効果は4~12年と限りが有ります。
- 咳が出る時は、周囲へ感染を広げないように、マスク着用などの咳エチケットを心がけることが大切です。咳が長引くときは早めに受診しましょう
【関連ページ】
厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/whooping_cough.html
4.ダニ媒介感染症について
- マダニは春から秋にかけて活動が活発になり、野外作業や農作業、レジャー等で、マダニの生息場所へ立ち入ると刺されることあり、ウイルスや細菌などを保有しているマダニに刺されると感染症を発症することがあります。
- 但馬地域で確認されている、ダニが媒介する感染症には、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や日本紅斑熱、ツツガムシ病があります。
- 令和6年は豊岡健康福祉事務所管内では日本紅斑熱が1件報告されています。
- ダニ媒介感染症を予防するには、マダニ等が多く生息する場所に入る時は、長袖・長ズボン(シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる)、足を完全に覆う靴(サンダル等は避ける)、帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻く等、肌の露出を少なくし、服は明るい色のもの(マダニを目視で確認しやすい)を着用しましょう。
- また、ディートやイカリジンの成分を含む虫よけスプレーを用法、用量を守って使用しましょう。
- マダニの多くは、ヒトや動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、長時間(数日から、長いものは10日間以上)吸血しますが、咬まれたことに気がつかない場合も多いと言われているので、活動後は入浴し、マダニに咬まれていないか確認して下さい。特にわきの下、足の付け根、手首、膝の裏、胸の下、頭部(髪の毛の中)などがポイントです。
- 吸血中のマダニに気づいた時は、医療機関(皮膚科)で処置をしてもらってください。
- マダニに咬まれた後は2週間程度、体調の変化に注意し、発熱等の症状が認められた場合は医療機関にマダニに咬まれたことを伝え診察を受けて下さい。
【関連ページ】
厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164495.html
グラフ・データで見る管内の感染症情報(2025年15週)
小児科定点(グラフ)インフルエンザ定点(グラフ)(PDF:380KB)
兵庫県保健所別データ(PDF:84KB)
兵庫県感染症発生動向調査週報(PDF:538KB)