更新日:2022年9月14日

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子育てハンドブック 3

  • 発育には個人差があります
    赤ちゃんの発育には個人差が大きいもの。よその赤ちゃんとの違いをあまり気にしすぎないようにしましょう。
    機嫌の良否を活発さ・食欲の具合や体重の増え方などで判断しましょう。
    気になる時は、一人で悩まず、保健所や市町の保健婦に相談しましょう。

人間関係の源泉-母子関係-

異なる環境で育つ子どもの微笑

子どもは生まれてすぐの乳児期から積極的に、母子関係を中心とした相互作用の中で社会生活の準備を始めます。子どもの社会生活にとって重要なものが「人間関係」の形成です。母子相互作用の中での母子のコミュニケーションは、子どもがまだ「ことば」をしゃべれない時でも、子どもから自発的に、能動的に行われているのです。たとえば、子どもは「微笑」で母親とコミュニケーションを行っているのです。生後5ヶ月頃までは、どの子どももまわりのいろいろな音(聴覚的なもの)や人(視覚的なもの)に対して区別なく微笑します。しかし、「人見知り」を始める6ヶ月頃からは、母親を中心としたごく身近な人や、その人たちの声に対して微笑が多くなっていきます。
 
図は「人見知り(6ヶ月頃)」以降の子どもの微笑には、母親の存在への強い関心があることを示しています。子どもの微笑に母親が十分に応えてあげないと、微笑は少なくなっていきます。この微笑を大切にすることが、母と子のつながり(愛着関係)を強めていくことであり、「楽しい子育て」につながることなのです。また、2歳頃から子どものことばは急激に発達します。生まれてから2年間で子どもは300ぐらいの「語い」を身につけますが、2歳からの1年間でそれまでの2倍以上の「語い」を習得し、その数は900余りにもなります。
 
子どもがことばを使えるようになると、それまでの微笑、見つめる、泣く、後追い、しがみつくなどの母親への「愛着行動」でもある「非言語的」コミュニケーションに加えて「言語的」コミュニケーションが母子相互作用の中に加わってきます。この「非言語的」コミュニケーションと「言語的」コミュニケーションを通した母子相互作用の中で、母子の心の絆(きずな)を強めることのできた母親が、子どもにとっての「安全基地」となります。子どもが不安になると立ち戻れる場所です。母親が安心できる場所である「安全基地」になると、子どもは自分から積極的に母親を離れて探索を始め、母親にベタベタしないで、仲間と遊べる子どもになる条件が備わります。
 
母子の愛着関係をつくることに失敗すると、母親が子どもの「安全基地」とならず、いつも母親にひっついていないと安心しない子どもになり、母親にベタベタする子になり、ひとりで友達とも遊べない子どもになります。「非言語的」コミュニケーションを見直し、大切にしましょう。
 

母と子のきずな

  • 胎児だってわかっています
    以前の発達心理学では、赤ちゃんが生まれて大人になるまでを研究の対象としていました。そして生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ耳も聞こえず、目も見えず、もちろん動くこともできない、まったく無力な存在と思われていました。今でも年配の人には、そう考える方もあるでしょう。
    しかし、最近の胎児医学や心理学の研究の積み重ねから、実は胎児や新生児にも、いろいろな能力や可能性が具わっていることが明らかになってきました。特殊な精巧なマイクを子宮の中に入れると、お母さんの血液の流れる「ザッザッ」という音といっしょに、お母さんに話しかけている医師の声も、意味が聞きとれる程度にちゃんと録音されています。そうすると、胎児のときから、子どもは両親の対話も聞いているのです。そして、胎内での音の記憶が残っているのでしょうか、生まれて2、3日の新生児がむずがり泣きしたとき、この血流の音を聞かせると、間もなく泣き止みさえするのです。
  • お母さんの笑顔が一番です
    新生児の視力は、大人のようには成熟していませんが、適当な距離にあるものは、おぼろげな全体の中ではっきり見分けているようです。それは、お母さんが抱き上げて、あやすときの顔と顔との間隔ぐらいの距離なのです。そして瞳が注視の焦点になるようです。やがてお母さんが乳児に向かって話しかけ、笑いかけると、子どものほうも声をあげ、喜びの表情を見せます。この時お母さんが声も出さず、軽く睨むような堅い表情を見せますと、笑いが止まり、不安な表情となって、乳児は泣き出します。そこでお母さんが再び声をかけ笑ってみせると、子どもも安心した喜びの表情・動作に戻ります。
  • 母と子のきずなは多重です。
    母と子のきずなは、目と目の結びつきだけではありません。十数年前から、小児科医等の研究者たちが、母から子、子から母への結びつき、つまり母子相互作用を綿密に具体的に調べています。さわる、撫でる、頬をくっつける、抱くといった「接触」、目と目を合わす、じっと見るという「視覚接触」、子どもの名を高い調子の声で呼び、子どもも高い声で泣くという「高い調子の声」、それから、相手の体の動きや声の調子にお互いが同調すること、ホルモンの分泌や睡眠のサイクル、においや肌の温もりなど、母と子のきずなは何重にも重なっています。新生児が自分の母親の母乳の染み込んだガーゼと、そうでないガーゼを嗅ぎ分けることもわかっています。このような、いわば一心同体ともいえる母と子の相互のつながりは、「基本的信頼感」を獲得すると言う意味で、乳児の発達のとってかけがえのないことなのです。
  • 周囲の支えと子どもの個性
    ただここで、2つのことを指摘しておきましょう。
    第一に、母親がかけがえのない養育者ではあっても、母親が一人だけでその任にあたるということではないのです。お父さんもおじいさんもおばあさんも、直接・間接にお母さんを支えることが、「子はかすがい」となって、家族の間の人間関係のきずなを強めていきます。乳児をもつお母さん同士のつながりも大切でしょう。
    第二に、新生児・乳児のころから、子どもはいろんな面で個性の違いを示します。絶対的な一つの基準があるように思い込み、隣の子と違う、本に書いてあるのと違うと、神経質になり過ぎないようにして下さい。参考までに、トーマスらによる追跡研究で、9つの気質の違いをまとめた表を掲げておきます。
追跡研究された9つの気質的特徴(トーマスら)

1. 活動水準

子どもの活動に現れる運動のレベル・テンポ・頻度、および活動している時間とじっとしている時間の割合、活発さの程度。

2. 気分の質

うれしそうな、楽しそうな、友好的な行動と、泣きや、つまらなそうな行動との割合。

3. 接近・回避

はじめて出会った刺激-飲食、玩具、人、場所、など-に対する最初の反応の性質、積極的に受け入れるか、それとも尻ごみするか。

4. 周期性

食事・排泄・睡眠-覚醒などの生理的機能の周期の規則性の程度。

5. 順応性

環境が変化したときに、行動を望ましい方向へ修正しやすいかどうか。慣れやすさの程度。

6. 感受性の閾値

はっきりと見分けられる反応を引きおこすのに必要な刺激の強さ。感受性の程度

7. 反応の強さ

反応を強く、はっきりとあらわすか、おだやかにあらわすか。

8. 散漫性

していることを妨げる環境刺激の効果、外的な刺激によって、していることを妨害されやすいかどうか。

9.注意と範囲の持続性

この2つのカテゴリーは関連している。注意の範囲は、ある特定の活動にたずさわる時間の長さ。持続性は妨害が入ったときに、それまでしていたことにもどれるか、別の活動に移るか。

 

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