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ボツリヌス菌は、土壌や海、湖、川などの泥砂中に分布している細菌で、偏性嫌気性の芽胞形成菌の一種です。
熱に強く、酸素がない状態を好み、ボツリヌス芽胞が低酸素状態に置かれたときに、菌の発芽・増殖がおこり、食中毒を起こす毒素(ボツリヌス毒素)が産生されます。
毒素が含まれる食品を食べると、食中毒の症状が引き起こされます。
(ボツリヌス菌は常在菌ですが、菌が体内に入っても他の腸内細菌との競争に負けてしまうため、通常はなにも起こりません。)
ボツリヌス菌は熱に強い芽胞をつくるため、殺菌するためには、120℃で4分間以上又は100℃で6時間以上の加熱が必要です。
原因食品を食べて数時間から2日程度で、吐き気、嘔吐が起こり、次いで、視力の低下、瞳孔散大などの視力障害、えん下困難(物を飲み込みづらくなる。)などの神経症状が現れます。重症の場合は、呼吸不全が起こり、死亡します。強力な毒素で、他の食中毒に比べて致死率が高い(10~20%)と言われています。
通常、缶詰やびん詰など、酸素のない状態になっている食品が原因となります。また、ボツリヌス菌が自然界から食品に付着し、加熱せずに作られ、衛生管理が不十分なまま長期保管されることから、自家製のいずしなどの保存食品も原因となることがあります。
また、1歳未満の赤ちゃんにはハチミツを与えないようにしましょう。
赤ちゃんの場合には、腸内環境が整っていないため、ボツリヌス菌が腸内で増えて毒素を出すことがあります。
ハチミツは一般的に包装前加熱をしないため、ボツリヌス菌が混入していることがあり、1歳未満の赤ちゃんにとってはリスクの高い食品となってしまうのです。
容器包装詰加圧加熱殺菌食品(レトルトパウチ食品)や多くの缶詰は、しっかり加熱殺菌が行われているので安全ですが、レトルトパウチ食品とよく似た包装でも、冷蔵保存が必要な食品も流通しています。
食品の保存方法は、形態だけで判断するのではなく、表示できちんと確認しましょう。
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