中東呼吸器症候群(MERS)について
韓国での中東呼吸器症候群(MERS)の発生について
2015年5月11日、韓国で発生した中東呼吸器症候群(MERS:マーズ)輸入症例については、医療機関における院内感染対策の不徹底等により、医療従事者や同じ病棟の患者、その家族に感染者が多数発生していますが、持続的なヒト-ヒト感染は見られていません。
このような状況を受け、国において、検疫体制が強化されるとともに、県においても、万が一、患者が発生した場合に迅速に対応できるよう、医療機関や検疫所など関係機関との連携体制を整備しています。
中東呼吸器症候群(MERS)とは
中東呼吸器症候群(MERS:マーズ)は、MERSコロナウイルスによって起こる感染症で、2から14日の潜伏期間を経て、重症の肺炎、下痢、腎障害等を引き起こします。
2012年に中東への渡航歴のある症例から初めて報告されて以来、アラビア半島諸国を中心に患者が報告されています。ヒトコブラクダがMERSコロナウイルスを保有しており、ヒトコブラクダとの濃厚接触が感染リスクと考えられています。
今のところ、持続的なヒト-ヒト感染は見られませんが、WHO(世界保健機関)は、全ての加盟国に対して、MERS患者及びその接触者の探知体制や患者に関わる対応を強化すること、院内感染対策を徹底すること、国際社会と迅速な情報共有を行うこと等を要請しています。
このような動きをうけ、中東呼吸器症候群(MERS)は感染症法における二類感染症として定められました(2015年1月21日)。
WHO公表による中東呼吸器症候群の確定症例:2,603人、うち死亡者935人(2022年12月現在)
MERS流行国から入国・帰国された方へ
MERS流行国(アラビア半島又はその周辺諸国、韓国)から入国・帰国された方は、以下にご留意下さい。
- 流行の発生地域から到着された方で、入国時に発熱、咳などの症状がある場合には、検疫所にご相談ください。渡航先でMERS患者との接触機会が考えられた場合は、直ちにその旨を検疫所または最寄りの保健所に連絡してください。
- 帰国して2週間以内に、発熱、咳などの症状が現れた場合には、最寄りの医療機関に事前に連絡を入れた上で受診してください。受診時には必ず渡航とそのときの状況を伝えてください。
- 診断が確定するまでは、不必要に人と接触しないことを心がけてください。
- 健康監視の指示を受ける場合があります。そのときには、毎日の体温の定期報告をしてください。また、症状が現れた場合には、検疫所に連絡を入れて指示を受けてください。
医療機関の皆様へ
MERSが疑われる患者の診察に当たっては、標準予防策及び飛沫感染予防策の徹底をお願いします。
当分の間、診察の結果、次の「疑似症患者の定義」に合致しMERSが疑われる場合は、最寄りの健康福祉事務所(保健所)にMERS疑似症患者として届出をお願いします。
- MERS疑似症患者の定義については、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について」(平成18年3月8日健感発第0308001号、平成27年5月12日一部改正)により運用しているところですが、今般の韓国におけるMERSの流行状況に鑑み、当分の間、暫定的な対応として、以下に掲げる項目に該当する者をMERS疑似症患者として取扱い願います。
【疑似症患者の定義】
当分の間、医師が、下記のア、イ又はウのいずれかに該当する者を診察した結果、他の感染症又は他の病因によることが明らかでなく、症状や所見からMERSへの感染が疑われると診断した場合には、MERS疑似症患者として届け出ること。
- ア.38度以上の発熱及び咳を伴う急性呼吸器症状を呈し、臨床的又は放射線学的に肺炎、ARDSなどの実質性肺炎が疑われる者であって、発症前14日以内に対象地域(※)に渡航又は居住していたもの
- イ.発熱を伴う急性呼吸器症状(軽症の場合を含む。)を呈する者であって、発症前14日以内に対象地域(※)において、医療機関を受診もしくは訪問したもの、中東呼吸器症候群であることが確定した者との接触歴があるもの又はヒトコブラクダとの濃厚接触歴があるもの
- ウ.発熱又は急性呼吸器症状(軽症の場合を含む。)を呈するものであって、発症前14日以内に、対象地域か否かを問わず(※1)、MERSが疑われる患者(※2)を診察、看護若しくは介護していた者(※3)、中東呼吸器症候群が疑われる患者と同居(当該患者が入院する病室又は病棟に滞在した場合を含む。)していたもの又は中東呼吸器症候群が疑われる患者の気道分泌液若しくは体液等の汚染物質に直接触れたもの
- (※1)「対象地域であるか否かを問わず」とは、当分の間、「対象地域及び韓国」を対象にする。
- (※2)「MERSが疑われる患者」とは、対象地域及び韓国においてMERSと診断された者及びMERSが疑われる有症状者とする。
- (※3)「診察、看護若しくは介護していた者」とは、医療従事者又は介護従事者等であって、医療機関等において、診察、看護若しくは介護などで日常的に患者と接触する機会がある者とする。この場合の「接触」とは、対面で会話することが可能な距離(2メートルを目安とする。)にいることをいい、単にすれ違うといった軽度の接触のみでは対象とならない。なお、医療従事者等であっても標準的な感染防護具(サージカルマスク(エアロゾル発生の可能性が考えられる場合は、N95マスク)、手袋、眼の防護具、ガウン)を適切に着用していた者は、これに含まれない。
医師が、上記ア、イ又はウのいずれかに該当する患者を診察し、中東呼吸器症候群への感染が疑われると診断した場合には、当面の間、中東呼吸器症候群疑似症患者として取り扱うことができる。
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