更新日:2022年9月13日

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協働のための広報 兵庫県 広報ガイドライン Hyogo Public Relations Guidelines

 

なぜ、いま「協働」か。

人口減少社会とデジタル社会——時代の大きな変わり目に

いま、私たちが生きている社会は、時代の大きな変わり目にいます。

ひとつは、少子高齢化による人口減少社会になったこと。日本全体では2008年、兵庫県では2009年をピークに人口減少局面に入りました。同時に、少子化による生産年齢人口の減少も、急激に進んでいます。

もうひとつは、デジタル社会になったこと。インターネットの普及やIT(情報技術)の進展により、人間が使うことのできるツール(手段)が、飛躍的に進化しました。インターネットの普及は、行き交う情報量が圧倒的に増え、それぞれが主体となってのコミュニケーションが可能になりました。

たとえば百科事典は、以前は学者と出版社が作る高価なものでしたが、現在では誰でも編集でき無料で利用できるwikipediaになりました。

「自立・分散・協調」が、インターネット社会の本質といわれています。

 

IT(情報技術)の進展は、第4次産業革命を起こしました。1995年の第3次産業革命ではICとプログラムによる自動化の時代となりましが、コンピュータに命令していたのは人間でした。しかし2011年のIoTやAIによる第4次産業革命以降、コンピュータが自分で判断して最適な行動をする自立化の時代になっています。AIが判断できる程度の知的作業は、もはや人間の仕事ではありません。AIに代替されないのは、「人が直接対応することが、質・価値の向上につながる高付加価値なサービス」だそうです。(経済産業省「新産業構造ビジョン」、2017年)

 

どうやって、住民を幸せに?

私たち自治体職員の仕事は、住民をより幸せにすることです(詳細は「協働の歴史」をご覧ください)。人口が減り、かつ生産年齢人口が減っていく中で、これからどうやって、住民を幸せにしていったら良いのでしょう。残念ながら、「人口減少化」も「デジタル社会」も人類がはじめて経験することで、参考にできる前例はありません。

ただ、ヒントはあります。まさにwikipediaです。多様な主体が、それぞれの知恵を持ち寄って、時代やニーズに合わせた新しいものをつくっていく。そこには「みんなが参加するプラットフォーム」はありますが、「指示を出す中央」はありません。

なにか問題があったら、自分事でかかわる多様な主体が対等な立場で参加し、力を合わせて解決する。あるいは、そもそも何が問題なのかから、さまざまな角度から話し合うことで発見していく。

 

このように、力を合わせて共に価値を生もうとする取り組みが協働(Co-production)。

 

兵庫県だから、参画と協働

こんな時代の到来を予測していたのでしょうか。兵庫県は全国でもいち早く、「参画と協働」という言葉を、県のさまざまな計画や事業や活動で、名称や説明に取り入れています。

また、協働の前提となる参加者の自主性や対等性についても、「県民主役・地域主導」という表現で、あらゆる場所に登場します。

自治体として、これからも地域の住民を幸せにし続けるためには、「参画と協働」が必要となります。そしてさまざまな主体が参画し、それぞれ自分事として協働していくために、組織内外を問わず“巻き込む”広報が、これからとても重要となります。

だいじょうぶ。単純な作業は、機械が引き受けてくれる時代になってきました。私たちは、人間として、同じ人間である地域住民のみなさまと対話しながら、力を合わせ、住んでいて最高に幸せな地域をつくっていきましょう!

 

「広報」が、自治体で仕事をされるみなさまにとって大きな力となりますことを、心より願っております。

 

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