更新日:2024年4月1日

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帯状疱疹

帯状疱疹は、主に脊髄後根神経節(三叉神経節を含む知覚神経節)に潜伏感染した水痘(みずぼうそう)ウイルスが、加齢や免疫の低下などによってウイルスが再活性化することで、皮膚に分布している神経に沿って水疱が帯状に出現する皮膚疾患です。子供の頃に感染し、発症したみずぼうそうが治癒した後も、そのウイルスが長きにわたり神経に潜伏しています。

近年、帯状疱疹の発症や重症化を予防するワクチンのテレビコマーシャルをご覧になった方もおられると思いますが、平成28年3月から50歳以上の者に対する帯状疱疹予防目的で水痘ワクチンが使用できるようになり、令和2年1月からは新しいタイプのワクチンも発売され、この疾患の存在が注目されるようになりました。

帯状疱疹の症例

発生状況及び特徴

  • 60歳以上では年間100人に1人の発症という研究(外部サイトへリンク)もあります。
  • 50歳代から発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています。
  • 50歳以上で帯状疱疹を発症した人のうち、約2割が帯状疱疹後神経痛(PHN「皮膚の症状が治った後も痛みが残ることがあり、3か月以上痛みが続くもの」)になるといわれています。
  • 加齢、疲労、ストレスなどによる免疫力の低下が発症の原因となることがあります。

主な症状

  • 主に皮膚に分布している神経に沿って帯状に水疱が出現します。免疫不全の状態では、皮疹が全身に広がることもあります。
  • 通常、かゆみもしくは痛みから発症し、2~3日後に皮疹が出現し、その後も3~5日間にわたって新たな皮疹が出現します。皮膚が正常に戻るまでには1ヶ月ほどを要するといわれています。
  • 合併症として、先述の帯状疱疹後神経痛(PHN)だけではなく、眼合併症(角膜炎など)やラムゼイ・ハント症候群(顔面神経麻痺や聴力低下、めまいなど)などさまざまな症状があります。

治療法

  • 治療には、抗ウイルス薬や鎮痛剤などが使われます。早期に抗ウイルス薬を使用すると効果が高く、重症例では入院治療が行われます。
  • 特に免疫不全患者においては重篤化することがあるため、早期診断と早期治療開始が重要です。帯状疱疹を疑う症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。

二次感染予防

  • 子供など、周囲への二次感染を防ぐため、水疱部分を触ったりすることを控えましょう。
  • 水疱に触れたらしっかり手洗いをしましょう。

ワクチン接種

  • 帯状疱疹ワクチンは、現状、予防接種法に基づき公費負担される定期接種ではありません。ワクチン接種にあたっては、「かかりつけ医」などによくご相談ください。
  • 現在、生ワクチン「ビケン」と不活化ワクチン「シングリックス」の2種類があります。帯状疱疹ワクチンの取り扱いの有無や受診方法、接種費用等については、各医療機関に直接お問い合わせください。
  乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」 乾燥組換え帯状疱疹ワクチン「シングリックス筋注用」
接種対象者 50歳以上の者

50歳以上の者または

帯状疱疹に罹患するリスクが高いと

考えられる18歳以上の者(※注1)

予防効果

(※注2)

接種後1年62.0%

接種後7年52.8%

接種後1年97.7%

接種後10年73.2%

持続期間

(※注2)

接種から7年程度 接種から10年程度

副反応

(※注3)

【局所反応(注射部位)】

発赤44.0%、そう痒感27.4%、

熱感18.5%、腫脹17.0%、

疼痛14.7%、硬結13.5

【全身反応】

発疹、倦怠感(1~5%未満)等

【局所反応(注射部位)】

疼痛79.1%、発赤37.4%、腫脹24.2%等

 

【全身反応】

筋肉痛36.9%、疲労34.6%、頭痛28.3%、

悪寒21.4%、発熱16.7%、胃腸症状12.0%等

接種回数 1回 2回
接種料金 1回8,000円程度 1回20,000円以上、2回では40,000円以上
  • 帯状疱疹ワクチンは、現在、国で定期接種化を検討しているワクチンのひとつであり、「組換えワクチンに関する知見(有効性、安全性、費用等)」、「生ワクチンに関する新たな知見(有効性の持続期間等)」、「組換えワクチンも含めた中立的な費用対効果評価」等の観点で、再度議論を行うとされています。
  • 万が一、ワクチン接種により何らかの症状が生じた場合は、「医薬品副作用被害救済制度」により、医療費等の給付の請求を行うことができます。なお、給付は、厚生労働大臣による医学・薬学的判定に基づいて給付の支給が認められた場合のみ行われます。詳しくは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)ホームページ(外部サイトへリンク)をご確認又は以下のPMDAの相談窓口にお問い合わせください。

【独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)相談窓口】

0120-149-931(フリーダイヤル)

受付時間:月曜日から金曜日(祝日・年末年始を除く)午前9時から午後5時

IP電話等の方でフリーダイヤルがご利用になれない場合は、03-3506-9411(有料)をご利用ください。

 

(※注1)令和5年6月から接種対象者が拡大しました。「帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる」者とは、疾病または治療により免疫不全である者、免疫機能が低下した者、免疫機能が低下する可能性がある者又は医師が接種を必要と認めた者とされています。(「シングリックス筋注用」添付文書から引用)

(※注2)各ワクチンの予防効果及び持続期間は、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会の資料(第4回、第21回)を基に記載していますが、各報告における条件や背景因子等が異なるため、有効性の数値を単純に報告間で比較することは適当でないとされています。

(※注3)乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」及び「シングリックス筋注用」添付文書から抜粋。

帯状疱疹ワクチン接種費補助事業

帯状疱疹ワクチンは、保険適用はなく、任意接種に位置づけられているため、接種料金は全額自己負担となります。兵庫県では令和6年度に帯状疱疹ワクチンの接種費を助成する市町に対する補助事業を実施します。
事業実施の有無や助成内容の詳細等につきましては、住所地の市町担当窓口にお問い合わせください。

 

お問い合わせ

部署名:保健医療部 疾病対策課

電話:078-362-3213

FAX:078-362-3933

Eメール:shippeitaisaku@pref.hyogo.lg.jp