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更新日:2019年6月7日

意見書 第102号

 児童虐待防止対策の更なる強化を求める意見書

 今般、東京都目黒区で両親から虐待を受け女児が死亡するという痛ましい事件が発生した。このような虐待事案は、近年、急増しており、平成28年度全国の児童相談所に寄せられた児童虐待相談件数は12万件を超え、5年前と比べると倍増している。
 こうした事態を重く受け止め、政府は平成28、29年と連続して児童福祉法等を改正し、児童虐待防止対策を強化してきた。しかし、今回の事案は、児童相談所が関与していたにもかかわらず、虐待から救うことができなかった。
 虐待から子供の命を守るためには、子供の異変に早期に気付き、虐待の芽を摘むことが何よりも重要であり、そのためには児童相談所のみならず関係機関や民間団体等が協働し、虐待の防止に取り組むことが必要である。
 そこで、国におかれては、こうした痛ましい事件が二度と繰り返されないためにも、児童虐待防止対策の更なる強化に向け、下記事項に取り組まれるよう強く要望する。
                                                                                  記
1 平成28年度に政府が策定した「児童相談所強化プラン」を拡充し、市町村における児童虐待防止体制の強化や中核市・特別区への児童相談所の設置も加えた児童虐待防止体制を強化するプランを新たに策定するとともに、地方交付税措置を含めた必要な財源を速やかに講ずること。
2 子供の問題を児童相談所に一極集中させている現状を改めること。具体的には、児童相談所と市町村との間で適切な役割分担や連携強化を図るとともに、施設やNPO等民間機関・団体や他の行政機関等との連携を強化すること。
3 児童相談所間および児童相談所と市町村の情報共有については、仮に転居があったとしても、危機感や支援状況が確実かつ迅速に引き継げるよう、引き継ぎの全国共通ルールを定めるとともに、全国からアクセスできるシステムを整備すること。また、児童相談所と警察との情報共有については、必要な情報がタイムリーかつ確実に共有できるようにするとともに、適切かつ効果的に情報共有できるシステムを新たに構築すること。
4 全国共通ダイヤル「189」を児童虐待通告に限定し、児童相談所の相談できる窓口につながるまでの間にいまだ半数以上の電話が切れている実態を速やかに検証・分析し、児童相談所の体制の拡充や通告の無料化の検討を含め、運用の改善に努めること。
5 保育所や幼稚園・学校と情報共有を図ること。いじめ防止対策と同様、小中学校の校務分掌に虐待対応を位置付け、SSW(スクールソーシャルワーカー)を中心とした学校における虐待対応体制を整備すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成30年10月26日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
総務大臣 様
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣



                                                                                                                                            兵庫県議会議長 松本 隆弘

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